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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第31回

本と本屋の未来を考える

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『こんな日本をつくりたい』(太田出版)

 この号が出る頃にはもう始まっているのだけど、下北沢のB&Bという書店兼イベントスペースでゼミを開くことになった。その名も「本と本屋の未来」。情報社会の世の中で、改めて本を作る意味を考えるゼミだ。個人的には、これから活字の世界で何か面白いことをやろうと思っている人に向けたゼミにするつもりだ。全5回のうち、僕の担当は3回。それぞれ、批評家としての分析、編集者としての対応、そして会社員→フリーランスという生き方の視点から語ろうと思っている。

 最初の1回(批評家としての分析)は、この情報化の進行する社会でテキストを書く/読むという行為はどう変わるのか、あるいは情報社会の世の中での「本」の文化論的位置づけはどうなるのか、について考えたいと思っている。単純に考えて、ここ10年余りの情報化の進行は人間と「言葉」との関係を大きく書き換えている。デジタル化で「紙の本」というものの存在意義が大きく揺らいでいるのはもちろんのことだが、僕はもっと本質的な変化が起こっていると考えている。例えば有史以来、人間がここまで日常的に書き言葉でコミュニケーションを取っている時代はない。この1点を以てしても、現代における情報化の進行は人類の文化そのものを大きく変化させようとしている。「情報化なんて中世からあった/よって現代に起こっていることなんて大したことじゃない」とかバカな言説が少し前に流行して、本それ自体よりも「本が好きな自分」が好きなクラスタに人生読本的に受けたりしたこともあったけど、僕たちは「言葉」というものとのかかわり方自体を否応なく問い直す時代に生きていて、その大きな変化のあくまで一部分として、本や雑誌の問題があるんだと思う。この1回目はそんな「世界観」について話す予定だ。

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