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第1特集
使い捨て社員急増中のブラック企業研究【5】

維新の会躍進でブラック企業が増加!? “抜け穴”だらけの労働基準法

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──ブラック企業からか弱き労働者を守るべき我がニッポンの法律は、いかに機能しているのか?労働基準法をはじめとする労働諸法の運用実態とその“穴”について、数々の労働裁判に携わってきた弁護士に話を聞いた。

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『人が壊れてゆく職場』(光文社新書)

 ここまでは、さまざまな業界におけるブラック企業の内実を見てきた。では、そうしたブラック企業の横暴から労働者を守ってくれる存在であるはずの法律は、いったいどう機能しているのか?

 そこで本欄では、ブラック企業と法律の関係に迫りたい。まず、そもそもの大前提として、法を犯しているブラック企業は、具体的にはどんな法律に違反しているのだろうか?

「基本法令としては、まず労働基準法(以下、労基法)があります。それに加え、労働契約法、労働安全衛生法、パートタイム労働法、労働者派遣法など、労働実態や雇用形態に応じて引っかかる法律は変わってきます」

 そう語るのは、名ばかり管理職が問題となった「すき家事件」や「SHOP99事件」(共に2008年に提訴)などの労働裁判を多く担当してきた笹山尚人弁護士。例えば、ブラック企業の典型としてよくいわれる極端な長時間労働の強制は、「1日8時間、週40時間」以上の労働を禁止する労基法32条に抵触するし、使用者(会社)が労働者に対しパワハラなどで精神的苦痛を与えた場合は、労働契約法5条が定める「安全配慮義務」違反になる。

 あるいは、劣悪な職場環境を放置したり労働者に健康診断を受けさせなかったりすれば、労働安全衛生法の出番。ちなみに、以上の3つの法律はいずれも、正規・非正規を問わずすべての労働者に適用されるという【厳密には、労働契約法は使用者と直接労働契約を結んだ労働者にしか適用されないが、派遣法などの規定により、勤務先と契約関係にない派遣労働者にも適用される場合も多い】。さらに、パート(短時間労働者)にはパートタイム労働法が、派遣労働者には労働者派遣法が、それぞれ保護を上乗せする形になっている。

 一見するとそれなりに法整備はされているようだが、それでもブラック企業の問題が後を絶たないのはなぜなのか?

「もともと労働法令というものは曖昧な書き方をされているものが多く、そういう意味では“穴”が多いんです。しかし、それよりもまず、法律を守らせるべき監督機関がきちんと機能していないことのほうが問題です」(笹山氏)

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