サイゾーpremium  > 特集  > 『震える牛』が警告する"食品"を"工業製...
第1特集
イオンの流通革命が起こした弊害【2】

『震える牛』が警告する"食品"を"工業製品"に変えた大型ショッピングセンターの脅威

+お気に入りに追加

──流通イノベーションの罪は、地方都市の商店街を衰退させただけではない。新著『震える牛』(小学館)を上梓した、作家の相場英雄が語る、我々の身にも危険が及ぶという、さらに恐ろしい流通革命、 その"罪"の深層とは――?

1203_aiba.jpg
相場氏は、地方に行くと、地元の人がすすめる店を尋ねるという。そこで聞ける話も多いそう。

 静かに空をにらむ牛の頭骨――シンプルながらインパクトのある装丁と、帯に躍る"平成版『砂の器』"の文字。社会問題を下敷きにした骨太なミステリー小説『震える牛』が2月1日に刊行され、早くも話題を広げている。

 警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一警部補は、2年前に発生した未解決事件「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。被害者は仙台在住の獣医師と、東京在住の産廃業者。一見して偶然、無関係に殺害された2人だが、そのつながりを探るうち、田川は大手ショッピングセンターの地方進出、それに伴う地域商店街の衰退など、社会の構造変化が事件に大きくかかわっていることに気づく……。

 著者の相場英雄氏は、自著のミステリーシリーズ『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』の取材を行う中で、東北のある酪農家から「日本のBSE検査は、一般消費者が考えるほど厳しいものではなく、今も"震える牛"が出てくる。トレーサビリティがしっかりしていない牛肉は、家族には食べさせられない」と聞き、衝撃を受けたという。それが、本作を書き上げる契機になった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年11月号

「異形と異端」が 動かすニッポン論

「異形と異端」が 動かすニッポン論
    • なぜ、我々は横浜流星に惹きつけられるのか?
    • なぜ、『べらぼう』は異形の大河なのか?
    • [特別対談]立花孝志×上念司
    • 参政党は叩かれて強くなる!
    • [対談]安田淳一監督×阪元裕吾監督
    • “因習村”源流としての金田一
    • 日本一早いプロ野球順位予想

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【かとうれいこ】27年ぶりの写真集発売、レジェンドがグラビア復帰を決断した理由
    • 【Small Circle of Friends】切なさと力強さ。正しさと優しさ。アズマとサツキの絶妙ブレンド。
    • 【日爪ノブキ】仏で国家最優秀職人章に認定された男が推し進める「人類帽子計画」
    • 俳優生活11年、木竜麻生の現在地
    • 超大物アーティストが愛用する シルバージュエリーブランド──「サーティーンデザインズ」代表インタビュー

連載

    • 【マルサの女】橘 和奈
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • GROOVE SEQUENCE──NJSとLDHの親密な関係値
    • 【特別企画3】マッチングアプリが変えた恋愛の価値観
    • 乙女たちの官能界隈
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ