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俳優に狂人の演技をさせるも、みんな無視!?

【小泉明郎】──極限状態の人間の感情を描く、気鋭の映像作家

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 哀しいんだけどおかしい、見たくないけど見てしまう。映像メディアを通して、極限状態に置かれた不条理で滑稽な人間たちの感情を描く、気鋭の作家・小泉明郎から目が離せない。

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 登場人物に演出をする監督自身がカメラの前に現れ、ひとつの物語を作り上げていく様子がそのまま映像に収められる。その物語には、トラウマや怒りや哀しみといった激しい感情が潜んでおり、小泉は登場人物との対話を通して感情を増幅させ、心の奥に潜む感情の動きをあぶり出していく。

 8月末から開催中のあいちトリエンナーレでは、小泉の新作『劇場は美しい午後の夢を見る』が公開されている。展示空間は2面のスクリーンで構成され、登場人物は一方は男で他方は女。どちらも心を病んでぶつぶつ独り言を言っており、時折2つの映像がシンクロしながら物語は進んでいく。

「これまでは自分(監督)と俳優という1対1の関係で作品を作ってきたんですが、それに観客という偶発的な要素を足したらどうなるか、と考えたんです。だから今回は、あえて屋外で奇怪な動きをしてもらい、それに対する周りの反応、つまり嫌悪の表情や態度も含めた出来事を作品にしました」

 小泉の映像は、偶然性を貴重な飛躍の一手としながらも、構造的に見せる作品のため、周囲の反応を引き出すための演出が不可欠だ。

「一般の人の反応を撮影するのは難しい。俳優さんに狂人の演技をさせたんですが、誰も反応しない(笑)。反応を得るためにどう演出すればいいかを考えました」

 グラリと心揺さぶられる小泉明郎の世界、現代アートが苦手な人にこそ見てほしい。
(上條桂子)

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小泉明郎(こいずみ・めいろう)
1976年、群馬県生まれ。02年、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン卒業。アムステルダムのライクスアカデミーではアーティスト・イン・レジデンス参加。昨年「MAMプロジェクト009:小泉明郎」(森美術館)も行った。


『劇場は美しい午後の夢を見る』
登場人物と観客、そして演出をする自分自身の姿と、映像作品を作り上げていく中で高まる感情すべてを映像化するという、ドキュメンタリーとフィクションの合わせ技を用いた映像作品。電車の中でぶつぶつぼやく青年と、町中でぶつぶつぼやく女性、そしてそれぞれを見た周囲の人たちの反応。この2つのスクリーンが重なった時、ある対話が生まれる。

『あいちトリエンナーレ』
新しいアートの動向を発信する国際芸術祭。「都市の祝祭 Arts and Cities」をテーマに国内外130組以上のアーティストが参加し、現代美術、ダンス、演劇などのパフォーミングアーツや現代アートを紹介する。 開催期間/2010年8月21日(土)〜10月31日(日) 営業時間/愛知美術館は10:00〜18:00(木、金、土は、10:00〜20:00) 入場料/1800円(一般当日券、パフォーミング・アーツは別料金)

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