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空港改編にみる政界のつばぜり合い

羽田ハブ化の裏にも小沢の影!? "日航潰し"ここに極まれり

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日本航空の再建は民主党の手に?

 民党政権が終わり、税金を湯水のように使ってきた「ハコモノ行政」は民主党政権の手で次々と見直しが進んでいる。なかでも前原誠司・国土交通相は、「マニフェスト」を錦の御旗に、ゼネコン利権の象徴と目された群馬県の八ツ場ダムなど大型公共工事の中止を打ち出し、国の巨額な地元対策費がばらまかれることを期待した自民党支持派の住民からも猛烈な反発を食らっている。

 そんな彼がひとつだけ、マニフェストにない"大型改革"を言いだした。羽田空港の国際拠点空港化、いわゆるハブ化構想である。

 これまで「国際線は成田、国内線は羽田」という国の大原則があった。ところが、地方空港から国内線で羽田までやってきても、海外に出るには成田までさらに電車やバスで1時間以上はかかり、アクセスは最悪。そこで、羽田の再拡張事業が行われていることに前原氏が目をつけ、成田の国際線を羽田に取り込んで一大国際空港をつくろうというのがハブ化構想だ。

 10月11日、大阪府の橋下徹知事と面会中、「関西空港のハブ化もお願いします」と頭を下げられた前原氏はそれを遮り、「いや、羽田のハブ化でいきますから」と応じ、橋下知事ばかりか、航空行政に携わる人々にショックを与えた。「ハブ空港は成田」という国の方針をひっくり返しただけに、なるほど自民党政治からの脱却といえば聞こえはいい。だが本当の事情は違う。国交省担当記者が解説する。

「だって、10日後の10月22日には、成田の第2滑走路が延長工事を終えたばかりで、これを機に年間発着回数を20万から30万へと増やし、アジアの拠点空港を目指す構想だったのに、それを目前にして前原さんは"成田潰し"を仕掛けたとしか思えない。これは改革でもなんでもない。航空会社同士の争いに、民主vs自民の構図が絡んだ対立の産物なんですよ」

 順を追って説明しよう。31年前、手狭になった羽田空港の代わりに、千葉県成田市一帯の地元農民の反対闘争を押し切って成田空港が開港した。このとき、日航が入る第1ターミナルは完成したものの、反対派の抵抗で第2ターミナルはなかなか出来上がらず、全日空は成田への本格進出まで10年も待たされてしまった。成田の国際線は日航の独占状態が続き、一方の全日空は羽田に設備投資して、国内線の牙城づくりに腐心してきたという経緯がある。

 全日空といえば、ロッキード事件で当時の若狭得治社長と田中角栄元首相の癒着が暴露されたように、旧田中派に近い。一方、ここ最近の自民党を見ると森、小泉、安倍、福田首相らを生んだライバルの旧福田派が幅を利かせており、旧田中派は自民党では少数派。そんな全日空にとって政権交代は絶好のチャンス。民主党には、小沢一郎幹事長ら旧田中派が多くいる。そこで、羽田に国際線を引き込めば、全日空の独り勝ちが見込めるという戦略が浮上したのだ。

MEMO羽田ハブ化 ハブ空港とは、国内外の航路の中継拠点となる空港のことで、このハブ機能を、東京国際空港(羽田空港)に持たせようという方針。空港のみならず、周辺地域の経済活動も活性化するため、ハブ化には地元の政財界からの期待がかかる。

「確かに全日空が民主党に急接近したという情報がある」と語るのは政治部デスク。「小沢さんには、京セラの稲盛和夫名誉会長のような個人的に師事する財界の大物が複数いるんだが、そのひとりが全日空の大橋洋治会長。自民党時代に、小沢さんは親分の金丸信副総裁(当時)から全日空人脈を引き継いだ経緯がある。2人が8月の衆院選前から接触を図ったとしきりに囁かれているんだ」

 こう見ると、ハブ化構想の裏からは、政治のにおいがプンプンしてくるのがおわかりだろう。加えて、日航の再建も民主党政権に委ねられることになっている。このままいけば、民主党と結託した全日空が、日本の"制空権"を掌握するのは間違いなさそうだ。
(編集部)


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