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第1特集
"グレーゾーン"でも関係は良好?

生誕30周年で大盛況!? ガンダム便乗商売の正当性

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料理は「シャア専用」で!と頼むと量や辛さが3倍に。メニュー表をガンダムの仕様書風にするなど、細かいこだわりが見える店も。(某ガンダムバー、撮影/夏目圭一郎)

 テレビアニメだけで11タイトル、ほかにも映画やOVA、小説など、全部で200本近い作品を持つ超ビッグコンテンツ「ガンダム」。生誕30周年の今年は、お台場に等身大の像が立ち、ガンダム詣でに415万もの人が訪れたという。アニメの中では世間での認知度は群を抜き、だからこそ成り立つ、便乗商売も盛り上がっている。

「『ガンダム』で集客がいいのは確かです。飲食店としては際立つ特徴なので」

 そう話すのは、2年前にオープンした某ガンダムバーの店主。ガンダムバーとはその名の通り、ガンプラなどのグッズやイラストなどが店内に並び、メニュー名を作品にちなんだものにしているガンダム尽くしのバー。

「でも、別に儲けたいからガンダムバーにしたわけじゃなくて。ただ、好きなんですよ」

 客はもちろん、スタッフもほとんどがファンであり、店内では、連日ガンダム談義に花が咲く。そんな憩いの場である店だが、実は事業としてはグレーゾーン。別のバーオーナーからは、こんな話が出てきた。

「全国にガンダムバーはありますが、その中でサンライズなどに許可を取っているところはひとつもありません。噂では、許可を求めると、8桁クラスの契約料を提示されるとかされないとか……。営業中に突然版権元から電話があり、『ガンダムの看板を外せ』と警告された店もあるらしいですよ」

MEMOガンダム
名古屋テレビ(現メ~テレ)制作で1979年に放送が開始されたテレビアニメ。今年は初代ガンダムの生誕30周年としてにぎわっている。

 実際は警告など受けない店がほとんどだが、中にはガンダムバーとせず、模型バーと名乗っていた店に電話があったことも。一体どんな店が版権元の機嫌を損ねるのだろう?

「何がよくて何がダメかなんて、僕らからは確認しないのでわからない。聞けば"ヤブヘビ"ですから。最悪、店を閉めなきゃならなくなるし、各店、良心に従ってやっている状態」(同)

 しかし一方で、便乗して利益を得ようと、最初からわざと間違ったスペルの看板を掲げ、「ガンダムとは別物」と言い張るような店もある。版権元が警告しないのをいいことに、モラルハザードが一部で起きていることも事実なのだ。「(版権元が)法的措置を検討中という噂がある」(同)のも、やむを得ないことかもしれない。ちなみに今回、法的措置をするか否かの基準に関して版権元に問い合わせたところ、「お答えできません」とのことだった。

 一方、こういう話もある。本誌07年8月号でも紹介した、噺家、旭堂南半球氏らが開催しているガンダム講談会というイベントがある。これはガンダムをこよなく愛する同氏が、ガンダムの世界を見てきたかのように語る催しだ。東京、大阪、名古屋などで、月に1回以上行われている。バー同様こちらも版権元に許可は得てない。だが、あの富野由悠季監督もお気に入りで、完全に非公認かといえば難しいのだが……。とはいえ、ガンダムの物語を二次使用しているため、法的には"黒"にも思える。

 しかし「実際に法的措置が取られることはまずないでしょう」と旭堂さん。版権元の上役とも話したことがある彼によれば、ファンの憩いの場を奪うのは「不利益しかない」のだという。

「講談会もバーも、多くは"ガンダム愛"から生まれたもの。愛あるファンがこの30年間を支えてきたことは、版権元の方も理解されています。ただ公的に認めることはできない事情もある。それだけ大きなコンテンツに育ちましたから」(同)

 ガンダムバーや講談会に集う濃いファンこそが、公式グッズなどを購入し、版権元を潤してきた。人気に便乗というが、実はその人気を支えてきたのもまた、便乗商売であるという実情。某ガンダムバー店主は言う。「関係者の方も、プライベートでは来てくれます」と。グレーはグレーのままで放置する。それが、全員にとって良好な状態といえるのだろう。
(永石圭史)


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