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第3特集
"美人すぎる"キャスターたちがテレビに出まくる本当の理由【4】

法政大学・稲増龍夫が語る「女子アナをアウトソーシング化のメリット」

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──テレビ業界は大不況に見舞われていますが、フリーアナ&キャスターの需要は相変わらず高いと思います。4月の番組改編で報道番組が増えますが、そこにも局アナ以外の人材がキャスティングされるはず。先日、担当番組内でフリー宣言したTBSの小林麻耶アナが良い例ですよね。退社後は、3月30日から始まる同局の新報道番組キャスター就任がすでに決定している。結果的に局の目玉番組に、また外部のキャスターが抜てきされたというワケです。ただ、局アナが軽視され、外部のキャスターが重宝されるような流れは、仕方ない部分もある。アウトソーシングと言えば格好いいですが、実際は"派遣"なんですよ。キャスティングして数字が取れなかったり、山本モナさんのように不祥事が発覚したりした場合、都合よくクビを切ることができる。局アナだと労働組合との兼ね合いもあって、なかなかそうした大胆な処分を下すことができませんからね。

 あと、一番の理由は、局アナが社内で軽視されていることかもしれません。外部から見れば「女子アナは局の顔だよね」って言われるけど、やっぱり内部では「美人だからってチヤホヤされて」というふうに揶揄されている傾向が、一部とはいえあるんですよ。また、「局アナを使うよりフリーアナを使うほうが、"新しい風"が起こるんじゃないか?」っていう、"期待"も存在している。だから、現場は自局の女子アナを使えば安く済むのに、外部から連れてきたがるんですよ。でも、そうなると当然、局アナのモチベーションは下がります。某局のアナウンス室では、みんな「どうしてなんだ!」って憤慨していますよ。ただでさえ、上司の命令で不本意な番組に出演することが往々にしてあるため、「じゃあ、私もフリーになってやる」っていう風に思ってしまう。看板アナがフリー転向するのも、そうした負のスパイラルがあるからでしょう。しかし、退社しても成功するのはごく一部。やはり、安藤優子さんや田丸美寿々さん、小宮悦子さんの牙城はなかなか崩せないんですよ。

 今のテレビ業界は全体的にマイナス思考になっているので、数字が見込める安定したキャスターがどうしても重宝がられる。リスクよりも安定を取る傾向にあるので、次世代キャスターが生まれにくい状況にあります。そういった意味で、小林麻耶さんの今後には注目していますね。(談)

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(撮影/辰巳千恵)

稲増龍夫(いなます・たつお)
1952年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。法政大学社会学部教授。主催する「自主マスコミ講座」からは、小島奈津子(元フジ)、堀井美香(TBS)、龍円愛梨(テレ朝)など、キー局、地方局に多数の女子アナを輩出。


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