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第3特集
"美人すぎる"キャスターたちがテレビに出まくる本当の理由【3】

東京工科大学・碓井広義教授が語る「報道のエンタメ化による低迷」

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──女子アナとキャスターの大きな違いは、自分の言葉でハッキリと考えや意見を主張できるかということ。女子アナは原稿を正確に読むことを求められますが、キャスターは経験や知識によって、その出来事を語っていく必要がある。そういった意味で、女性キャスターとして一番のお手本は、『きょうの出来事』(日テレ)に出演されていた櫻井よしこさんですね。あの番組は単なる報道ではなく、「櫻井さんが語り、解説している」ということに意味があったと思います。彼女ほどではありませんが、安藤優子さんや小宮悦子さんも、自分のスタンスで世界を見ている。だから、どんな番組に出演してもブレないし、私生活のトラブルがあろうと需要が絶えることはないんです。

 一方で、滝川クリステルさんは、まだ見識と経験が足りないため、キャスターというイメージではないんです。どうしてもヴィジュアル面ばかりが先行してしまい、気になるのは「今日の微笑具合は?」など、そういったことばかり(笑)。単なる「肩書」といいましょうか、まだ本来の意味でのキャスターにはなれていないと思いますね。

 同じような立ち位置で言うと、『NEWS ZERO』の小林麻央さんも一緒でしょう。まぁ、彼女の場合はキャスターというよりもタレントさんですけど。その証拠に、報道番組に出演しているにもかかわらず、特定企業のCMに出演している。その企業に不祥事があった場合、きちんと報道できるのでしょうか? 要するに、報道番組もエンタメ化しているんですよね。真相をちゃんと掘り下げていくのが報道番組のあるべき姿なんですけど、今はどうすれば視聴者に受けるか、視聴率を稼げるかに重きを置くようになってしまった。本来のニュースの価値とは別の判断基準で、優先順位付けされるようになったんです。TBSの小林麻耶さんが4月からのTBSの新報道番組のキャスターに抜てきされたのも、エンタメ路線の一環でしょう。

 今後、テレビの縮小傾向はさらに進んでいきます。その中で、テレビの存在価値を見いだすとしたら、ジャーナリズムしかないと思うんですよ。そうした時に、ニコニコ笑っているだけのお嬢様キャスターが生き残っていけるか。女子アナがアイドルとしてチヤホヤもてはやされる時代は、そう長くはないかもしれません。(談)

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(撮影/辰巳千恵)

碓井広義(うすい・ひろよし)
1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。81年テレビマンユニオンに参加。慶大助教授、千歳科技大教授を経て現職。著書に『テレビの教科書』(PHP研究所)ほか。


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