中居正広・ フジテレビ問題とは なんだったのか?

週刊誌記者匿名座談会

国民的タレントが引退し、テレビ局トップが辞任。発端となったトラブルの実態は闇の中で、いまだ問題の出口が見えない中、SNSでは臆測や誹謗中傷が飛び交い、メディアの対応にも議論が巻き起こっている。この前代未聞の騒動を、最前線で取材を続ける記者はどう見ているのか? 週刊誌を中心に活動するフリーの記者たちに集まってもらった──。

引退した中居正広と1月23日に発表された「引退声明」
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──まずは、現場で取材している記者の皆さんが一連の報道をどう受け止めているのか、お聞きしたいのですが。

A 正直、最初はここまで大ごとになるとは思わなかった。はっきりした証言や証拠が報道されているわけじゃないのに、騒ぎがどんどん広がり、中居正広は引退、フジテレビも幹部が全員辞任する事態になって……長く記者をやっているけど、こんな展開は初めてかもしれない。

B あと、被害者の女性の扱いも奇妙なことになっているよね。テレビや週刊誌は当然、匿名で報じているんだけど、YouTubeやSNSでは被害女性を名指しして誹謗中傷しているものがかなり多い。テレビや週刊誌に対して「名前を隠すな」と批判している投稿も目立つしね。

C ネットの匿名批判は、被害者と名指しされている女性が芸能活動をしていることを理由にしているけど、それは関係がない。これは人権にかかわる性加害事件だから匿名は当然でしょう。

D 性加害事件だけじゃないよ。政治家や有名人がスキャンダルを報道されると、必ず「匿名は卑怯だ」「実名で言ってみろ」という声が起きるけど、一般女性や組織に所属している人が名前を明かして強者の不正を告発できるわけがない。匿名批判は、不正追及や批判を封じ込めたい権力者や有名人の詭弁でしかない。

B ただ今回は名前だけじゃなく、元社員という表現もNGとして、「フジテレビで仕事をしていた芸能関係者」という表現にとどめているメディアも多い。その一方でワイドショーや週刊誌は「フジでは女子アナの性上納が常態化していたのか」なんて職業名を出して報道したり「フジが女性を守らなかった」と社員を前提にした批判をしているから、わけがわからない。

A メディアの自主規制もちょっと過剰だよな。その結果、事実関係がきちんと伝わらず、SNSでの被害女性への誹謗中傷がエスカレートしている側面もあるんじゃないか。

D 事実が歪められているのは、「週刊文春」への〝誤報〟批判も同じ。文春が一部の記述に訂正を出したことで、「文春の誤報のせいで中居が引退、フジが危機に追い込まれた」という批判が広がっていったんだが、そもそも第一報は文春じゃなくて「女性セブン」。文春の記事も誤報といわれるほどのものじゃない。そんなことは記事を読めば一目瞭然なんだが。

B みんなSNSの切り取りやネットの見出しを見てワーワー言ってるだけで、週刊誌の記事なんて読んでないんだよ。悲しい話だけど(笑)。

──文春の誤報問題については後で詳しくお聞きするとして、とにかくこの問題はあらゆる面で事実関係の検証が置き去りになっている感じがします。

A SNSの影響力増大とリテラシーの低下がもたらした「情報の空洞化」の典型だね。

中居は結局、何をしたのか?

──その空洞化を埋める意味でも、改めて騒動の経緯を検証したいです。最初に聞きたいのは、やはり中居と被害女性X子さんの間にどんなトラブルがあったのか。プライバシーへの配慮で踏み込めない部分もあると思いますが、可能な範囲で教えてください。

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