>   >   > 実写化不可能なマンガ残虐描写【1】/【ウシジマくん】は現代の病理か?

『闇金ウシジマくん』『ギャングース』『善悪の屑』――ヤクザや半グレ、復讐屋など「裏社会」の人々を過激に描いたマンガが続々と実写化され、人気を博している。マンガはなぜここまで残虐に進化していったのか……そこには『闇金ウシジマくん』の登場と、社会情勢が密接にかかわっているという。

1804_urasyakaimannga_200.jpg
『闇金ウシジマくん 42』(小学館)

 ヤクザやマフィア、半グレ(暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す集団)などのアウトローが活躍する、いわゆる「裏社会」系マンガ。日常生活では知ることのできない裏の世界をのぞき見した気分になれることから、若い男性を中心に時代を問わず高い支持を得ているジャンルである。その人気から実写化された作品も多く、古くは1992年、『難波金融伝・ミナミの帝王』(日本文芸社)が竹内力主演で映画化。いわずと知れたVシネマ界の金字塔シリーズとなった。近年では、ヤミ金をとりまく貧困と暴力を描いた『闇金ウシジマくん』(小学館)が山田孝之主演で幾度も映画・ドラマ化され、歌舞伎町のスカウトチームを舞台にした『新宿スワン』(講談社)も川村陽介主演でドラマ化、綾野剛主演で映画化されている。

 これらの作品における人気の肝は、“過激な暴力描写”と“実社会を反映したストーリー”だろう。この2つの要素は、実際の裏社会の事件や流行を反映しやすい傾向にあるため、時代によって異なった特徴を持ち、中でも『闇金ウシジマくん』の登場前後で大きな変化が見られるのだという。その変遷をまずは追ってみたいと思う。

 90年代初期~中期の裏社会系マンガにおいて、人気の題材はステレオタイプなヤクザと金融であった。例えば、96年に連載開始となった、『白竜』(日本文芸社)は、暴力団黒須組の若頭、白川竜也を主人公にしたヤクザモノで、黒須組のシノギとそれに絡んだ他組織・企業との抗争が描かれているのだが、「西都鉄道編」「医療ミス隠蔽編」など、現実の事件を素材にしたストーリーも描かれていた。そして金融モノといえば、大阪のミナミでトイチの高利貸し「萬田金融」を営む主人公・萬田銀次郎と債務者のやり取りを描く『難波金融伝・ミナミの帝王』である。同作でも、豊田商事事件などの実際の事件やバブル崩壊、商工ローンなど当時の社会問題が扱われている。このように当時から社会情勢が裏社会系マンガに影響を与えていたことは間違いないが、一方で、これらの作品で主題となっていたのは、裏社会にまつわる義理人情的な人間模様で、『難波金融伝・ミナミの帝王』では、「ワシに返済させるためにやったことだ」という体裁ながらも、萬田が弁済できない債務者の法律相談にのるエピソードが多くある。そのため、過激な描写が主だって扱われることはなかった。暴力描写についても変わったところで『白竜』の千枚通しで男性器を突き刺すなどといったものもあったが、基本的には銃やドス、あるいは角材で殴ったりと至ってシンプル。マニアックなマンガではもっと過激なシーンもあったかもしれないが、少なくとも大手~中堅出版社のマンガでは、あまり激しい暴力シーンは登場しなかったのだ。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年7月号

タブーな本150冊

タブーな本150冊
    • 【出版業界】やっぱり死す!?業界裏話
    • 【EXILE】が熱く語る自己啓発本の世界
    • 【AI本】が説く人類の幸福論
    • 【サッカーとカネ】を暴く書籍群
    • 【鈴木ふみ奈】Hカップが本まみれ
    • 【人気声優】の新書が増えたナゼ
    • 【現役声優】話題の新書を辛口批評
    • 【韓国】の近代化を知るための1冊
    • 【脱北者】たちの告白本の中身
    • 【アメリカ人種差別】の今をえぐる本
    • 【LGBT】と日本近代文学(秘)史
    • 【アメリカ】文学とLGBT
    • ヤバい【SF小説】の耽美な世界
    • エキサイティングな【米国】の書評
    • 【ミチコ・カクタニ】のアートな書評
    • 【校閲者】が語る言葉狩り

SKE48・惣田紗莉渚 封印入浴グラビア

SKE48・惣田紗莉渚 封印入浴グラビア
    • 【惣田紗莉渚】の未公開セクシーショット

インタビュー

連載

    • 【RaMu】週5でラーメン行っちゃうんです。
    • 【池田美優】浜崎あゆみの歌が響く
    • 【森田ワカナ】吉木りさに憧れる童顔巨乳
    • 多額の強化費の先を見た飛込選手
    • 文春砲を食らった?【七瀬】ふたたび
    • 通信の理想と現実の狭間で揺れる中立性
    • 高須基仁の「全摘」
    • 【曽我部恵一】がFUCK YOU音頭を作る
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【ジャネール・モネイ】アンドロイドから人間へ
    • 【広島脱走事件】開放刑務所の奇跡的大成功
    • 【サヴァン症候群】なる局所的能力
    • 町山智浩/『ウインド・リバー』先住民保留地とアメリカの闇
    • 【タバコ規制】を妨げる利権たち
    • 小原真史の「写真時評」
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【恋は雨上がりのように】日本男性のロリコン趣向
    • エロティック画像でメイクマネー
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 元米軍兵が【ビール】を使って町おこし
    • 幽霊、大人にならない老人の軽小説。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』