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「マル激 TALK ON DEMAND」【134】

【神保哲生×宮台真司×半田 滋】安全保障に役立たない史上最高額の防衛費5兆円

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――ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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『日本の防衛―防衛白書〈平成29年版〉』(日経印刷)

[今月のゲスト]
半田 滋[東京新聞論説兼編集委員]

1月22日に開会した通常国会では、過去最高額となる5兆円を超えた防衛予算が大きな争点となる。緊迫する北朝鮮問題や軍備拡大が続く中国など、東アジアの安全保障は新たな展開を見せてはいる。だが、防衛予算の内訳を見ると必ずしも東アジア情勢に対応した装備費用が計上されているとは思えない。果たして、ここに妥当性はあるのだろうか?

神保 今回は今年度予算で過去最高額、5兆円を突破した防衛費を取り上げます。その問題点を厳しく追及されているのが、今回のゲストで、防衛省を長年取材されている、東京新聞論説兼編集委員の半田滋さんです。

 安倍晋三首相は1月22日の衆院本会議で、「専守防衛は当然の大前提としながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく」と語りましたが、半田さんはどうご覧になっていますか?

半田 専守防衛から踏み出さないとしていますが、実際に来年度の防衛費の中身を見れば、長距離の巡航ミサイルが突然入ってきたり、あるいはミサイル防衛システムのイージス・アショアが新規計上されたりして、装備、金額の両面で大盤振る舞いになっています。やはり安全保障関連法ができて、自衛隊の活動が広がってきたことが、防衛費にも反映されているという印象を受けました。

神保 宮台さんは本来、重武装中立論ですね。

宮台 そうですね。もともと憲法9条第2項に「芦田均修正」なるものがあり、要するに1項は「国際紛争の解決の手段として武力を用いることはしない」という規定であるから、芦田均(第47代内閣総理大臣。戦後、憲法9条の修正を行った)の説明によれば、それによって自衛のための軍は持てる、ということになります。

神保 前項の規定が制約になるのではなく、むしろ逆に2項の効力を限定するものと受け取れると。

宮台 そうです。芦田はそのことはGHQも承認していたと言っているのだけれど、さまざまな理由があり、歴代の内閣はその修正を事実上無視して、「憲法は戦力を持つことを禁止しているのだから、自衛隊と呼ばざるを得ない」としてきました。つまり、安倍さんは改憲などしなくても、芦田均の解釈を採用すれば、一発で終わりです。

神保 来年度予算の防衛費の中身を見ると、さまざまな最新兵器の導入によって、外からは防衛のための盾ではなく、攻撃のための矛をずいぶん持とうとしているように見られる可能性があります。また、アメリカから高い兵器をどんどん買わされているようにも見えます。

 具体的な話に入る前に、今回のキーワードのひとつでもある、FMS(Foreign Military Sales)=対外有償軍事援助というものを押さえておきたいと思います。これは形式的にはアメリカ政府が外国政府に軍事援助をしているということですが、実際には言い値で買わされていて、どこが援助なのか、という感じです。

宮台 有償援助とは、つまり「販売」でしょう(笑)。

半田 まさに、これは援助ではなくセールスです。つまりアメリカ政府は、「兵器が欲しいと言っている日本政府に対して、厚意で売ってあげる」と開き直っている。

宮台 アメリカが図々しいというか、日本が卑屈ですね。

半田 他国への兵器の販売について、このシステムを採っているのは世界中でアメリカだけです。現在、国連加盟国は193カ国ですが、FMSでアメリカが武器を売っている国は、163カ国もある。この仕組みの中で特異なのは、価格はアメリカ政府が決められるということです。もちろん交渉で価格が変動することはあるが、アメリカが勝手に決めて、値上げを求めることもできる。さらに、代金は前払い。そして、アメリカは一方的にこの契約を解除することができるようになっています。

 そんな殿様商売に付き合う必要はないだろう、という話になりそうですが、アメリカは年間60兆円近い国防費をかけており、重要なのは、アメリカは第二次大戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして湾岸戦争やアフガン戦争、イラク戦争と、常に戦争を続けている国だということです。つまり、米国製の武器は、実際の戦場でその優秀さが実証されている。どの国も実績のある武器を買いたいし、ある国が買えば、敵対する国も対抗して買うようになる。そういう形で、アメリカの兵器は世界中に広がっていきました。殿様商売ですが、実に巧妙にセールスしています。

神保 個々の軍事メーカーではなく、アメリカ政府から買う形になるんですよね。

半田 政府が自国の武器メーカーから一度買い上げて、そこに儲けを乗せて売っています。同じ武器でも売る相手国によって値段が違い、日本のようなカネのある国には当然高く売るし、アメリカが政策的にどこかの国を牽制してほしいと考える国には安く売ることがあります。

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