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第1特集
アメリカ映画差別描写の最前線【2】

丸屋九兵衛、かく語りき……LGBT描写を可にした『ムーンライト』の功績

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日本でも公開され、大きな話題を呼んだ『ムーンライト』。第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞に輝いた。(16年公開)

「映画の中で描かれる有色人種の差別表現は、時代と共に、そこまで重苦しくなく、ファニーになってきている側面があります。特に90年代以降のブラックムービーにおける差別表現は、そもそも黒人コミュニティ内で完結する“フッドもの”が増えたので、ほとんど描かれない。しかし、“同性愛”をテーマにしたブラックムービーというのは、黒人の文化的背景からも最大のタブーでしたが、LGBTを題材にした『ムーンライト』で大きな変化が起きました。

 同作の試写会で、どこかの映画評論家が『この映画の主人公は黒人である必要はない』と語っていたんですが、バカかと。黒人社会内でゲイがどれほど迫害されてきたかを知らないんです。LGBT映画とは言いましたが、ジャンル分けをするための言葉であり、私としては簡単に“ゲイ映画”と呼べない。なぜなら、主人公は正確な意味で“ゲイ”ではないから。主人公にその兆候や傾向はありますが、ゲイというのはコミュニティに属してこそ、ゲイなんです。

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