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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第9回

「ツイッターで話題の「豚組」オーナーが語る飲食店とB2Bビジネスの共通点とは?」

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通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

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外食産業の市場規模 (SD:公益財団法人 食の安全・安心財団)↑画像をクリックすると拡大します。

クロサカ 中村仁さんは、西麻布「豚組」をはじめとしたレストランのオーナーで、ツイッターをマーケティングに活用したことでネット業界でもよく知られています。現在は飲食店向けの予約管理サービス「トレタ」も手がけられています。以前から中村さんの仕事を拝見していると、人を集めて盛り上がるためのインフラを作っているのではないかと思っていました。

中村 僕が作ったサービスは、トレタにしても、その前のミイル(食事写真をアップして交流を図るSNS)にしても、いかに情報を一カ所に集めるか、ということがテーマなんですよ。今やっているトレタは、お店ごとに紙で管理して断片化した予約情報を一カ所に集めることで、新しい価値が生まれて便利になる。情報を集めようとはしているけど、必ずしも人を集めようとは思っていないかもしれません。

クロサカ 「人を集めようとしない」というのは、どういうことですか?

中村 もともと僕の店作りは、尖った店を目指していて、老若男女全般に受けようとは思っていません。むしろ99%の人に違和感があっても、1%の人に熱狂的に支持されて、その人が毎日来てくれることを目指している。だからマスとは逆なんです。ただし、そうやって尖らせて狭いところを狙っていくことで、話題になって結果的にマスにも受けるというのは、飲食店として正しいアプローチだとも思っています。

クロサカ 確かに、飲食店で「マス」といえば、ファミレスやファストフードですもんね。

中村 僕は、食の豊かな生態系を作りたいと思っていまして、それを実現するには「生物多様性」が不可欠なんですね。大きなチェーン店だけでなく、個人が経営する小さいけど個性的なお店がたくさんあって共存している状態。そうじゃないと食文化は豊かになりません。ツイッターでのマーケティングもトレタのようなサービスも、個人のお店をいかに元気にするかということを考えてやっています。

クロサカ 通信業界では、マスが壊れたことによる問題が起きています。スマホでLINEが普及する一方、iモードメールを使い続ける人がいて、相互のコミュニケーション基盤がバラバラです。双方の相互接続も、しばらく実現しそうにありません。

中村 飲食店はバラバラでいいんですよ。逆にマスを狙う大箱主義は、もはや通用しないと思っています。僕は飲食店を続けていくなかで、ある瞬間に気づいたのですが、東京にはこれだけ人がいるのだから、20席で満席になるような店だったら、毎日埋めるのはそんなに難しいことではないんです。だから、マスを狙う必要はなくて、ターゲットは人口の1%どころか0・1%以下くらいでいい。1000人に1人しか理解できないお店でも、東京なら1万人のお客様がいることになる。その人たちが毎日来てくれるくらいの店だったら、僕でもできるんじゃないか、と気づいたところから、店作りがガラッと変わりました。

クロサカ それくらい絞り込まれていると、お店作りも特定の誰かをターゲットに思い浮かべて、というふうになるんですか?

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