サイゾーpremium  > インタビュー  > 【津田寛治】「演じない」という演技
インタビュー
映画・ドラマ 700本以上に出演する、 稀代の名バイプレイヤー

「演じない」という演技──辿り着いた俳優の流儀

+お気に入りに追加

「0から役を作っても、薄っぺらいキャラクターにしかならない」名バイプレイヤーとして数多くの作品に出演してきた俳優・津田寛治が長年の経験から辿り着いた役作りの哲学は、己の人生から引き出すことだという。自身を主人公に据えた映画『津田寛治に撮休はない』を通じ、その真髄を語った。

2605_cyzo_tsudakanji_01.jpg
(写真/宇佐美亮)

──『津田寛治に撮休はない』に出演することになった経緯を教えてください。

津田 所属事務所の後輩・篠田諒くんを主演に、萱野孝幸監督が映画を撮ると聞いたのが最初のきっかけでした。その時に監督のお名前を初めて聞いて、企画を見たら、『断捨離パラダイス』(23)というゴミ屋敷の話でセンスがいいなと思って。それで篠田くんとお話をしていた時に、「萱野監督が津田さんのファンで、ぜひ次の作品に出てほしいとおっしゃっていました」と伝えられたんです。後日、「別府ブルーバード劇場」という小さな映画館で映画祭があった時に、僕は舞台挨拶で登壇したんですが、萱野監督が実際にいらして、初めてお会いしました。「ぜひ津田さんにやっていただきたい企画があります」と企画書を渡されて読んでみたら、そこに『津田寛治に撮休はない』と書いてあって。最初はバラエティの企画かなと思ったんですが、「津田さん自身が忙しくお仕事をされているドキュメント的な感じと、次第に現実と虚構が入り交じっていくフィクション的な感じを織り交ぜながら、最終的に奇妙な事件に巻き込まれていくミステリー要素もある劇映画を撮りたいんです」というお話でした。

──内容は明確に決まっていたんですね。

2605_cyzo_tsudakanji_02.jpg
『津田寛治に撮休はない』
監督・脚本:萱野孝幸
映画やドラマにひっぱりだこの俳優・津田寛治が本人役で主演する新感覚ミステリー。撮影や稽古で「撮休(撮影の休日)」がない多忙な日々の中、ある日を境に不可解な出来事が多発し、付きまといや幻覚に心をすり減らしていく津田に、衝撃の事実が待ち受ける。 2026年3月28日(土)より新宿K's cinemaほか全国で順次公開

津田 「ドキュメント要素があるなら、別日に僕の取材をしてもらったほうがいいですよね」というお話をしていたんですが、取材もしないうちに台本が出来上がってきて。それが、ほぼ完成形だったんです。読んでみたら、「なんでこんなに知っているんだ」と驚くくらい僕の要素が入っていたし、何より物語として本当に面白かった。派手な仕掛けを用意したエンタメ的な作品ではないけど、独特の空気感が僕の好みに合っていた。そういう匂いのする台本だったんです。ハートフルに何かを描くというよりは、現実主義的でクールなんだけど、その中にじわじわと人間味みたいなものが見えてくる。「人って変な生き物だよね」みたいなものが少しずつ滲んでくる描き方が素敵だったんです。「これが第一稿ですが、ほぼ変える気はありません」と一発で書き上げてこられたんです。頭が良くて才能のある方だなと、その時点で感じました。30代半ばとまだ若いのに、とても落ち着いていて、どんなに大変な局面でも取り乱さない。我が道を行く、独特な映画の作り方をされる方でした。

──自分自身を演じることに難しさはなかったのでしょうか。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2026年5月号

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ