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丸屋九兵衛の「バンギン・ホモ・サピエンス」【33】

【Kendrick Lamar】凶悪街の優等生ラッパー

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――人類とは旅する動物である――あの著名人を生み出したファミリーツリーの紆余曲折、ホモ・サピエンスのクレイジージャーニーを追う!

ケンドリック・ラマー

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(絵/濱口健)

デイヴ・フリーがケンドリックの音源を(押し売り的に)聴かせた相手が〈Top Dawg Entertain ment〉の創設者。ケンドリックの契約は05年で、22年の5thアルバムまで同社所属だった。現在はフリーとラマーが設立した〈PGLang〉の所属。

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いつだったか、一般誌でBTSの某曲について「ミーゴスやフューチャーに通じる曲調」と評したら、編集部から「アメリカのラッパーの名前を出すならケンドリック・ラマーにしてくれ」と押し切られた。そのとき感じたのは「どうやらここ日本では米ヒップホップという集合よりもケンドリック個人のほうが存在として大きいようだ」ということ。まさに一時期のBTSがK-POPという集合体よりも巨大に見えたのと同様に。以来、ケンドリックに対する絶賛を聞くたびに身構えてしまうのが常だったが、そろそろ避けてもいられなくなった気がする。このあたりで「狂った街のいい子」についてまとめておきたい。

ケンドリック・ラマー・ダックワース(Kendrick Lamar Duckworth)は87年6月17日生まれ。その特徴的なファーストネームは、テンプテーションズ黄金期の高音担当シンガー、「エディケン」ことエディ・ケンドリックスに由来する。ケンドリック自身はもちろんカリフォルニア州コンプトン生まれだが、両親はどちらもシカゴのサウスサイド出身。夫婦が西海岸に転居したのは84年、父親のギャング活動ゆえ……ということで、「サウスサイド・シカゴ」「コンプトン」の両者から想像されるギャングスタなイメージを地で行く家庭だった。

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