サイゾーpremium  > 特集  > 宗教  > 【心霊ドキュメンタリー】が描く宗教&カルト
第1特集
心霊系映像と宗教・カルトの関係性【1】

心霊/フェイクドキュメンタリーは宗教とカルトをどう扱ってきたか?

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――「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズを筆頭に、近年の心霊・ホラーブームの源流のひとつであり、一部の好事家から根強い人気を誇る「心霊ドキュメンタリー」。このジャンルの作品に宗教・カルトのモチーフが見られがちな理由について、同ジャンルを出自に持つ2人の有名監督に話を聞いた。

ここ数年、「オウマガトキFILM」や「ゾゾゾ」といった心霊・ホラー系YouTubeチャンネル、はたまた怪談本や怪談イベントが登場し、老若男女問わず人気を博している。また、台湾発のホラー映画『呪詛』が今年7月よりNetflixで配信されヒットを飛ばしたほか、2020年にはホラー映画『犬鳴村』や『事故物件 恐い間取り』がいずれもスマッシュヒットを記録。にわかに心霊やオカルトを取り扱うホラージャンルの人気が再燃しつつある。

また、コンプライアンスの問題などから、2010年代には衰退したとされるテレビ地上波でのホラー番組も、今夏は『真夏の絶恐映像 日本で一番コワい夜』(テレビ東京系)、『背筋も凍るほわ~い話』(TBS系)といった特番が放送されるなど、テレビでも復権の兆しを見せ始めている。

これまでも90年代後半から『リング』や『呪怨』でのJホラーブームが起こるなど、断続的なホラーブームは確かに存在していた。一方で、近年の心霊・ホラージャンルを見てみると、“実話”や“実在”といった謳い文句やドキュメンタリー的な手法が多く目につくようになっている。もちろん、心霊・ホラージャンルとドキュメンタリー手法の蜜月は今に始まったことではない。中でもその象徴的存在といえるのが、1999年にスタートして今なお続く人気ホラービデオシリーズ「ほんとにあった! 呪いのビデオ」(以下、「ほん呪」)だ。

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後の心霊ドキュメンタリージャンルに多大な影響を与えた「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズ。いくつかのスピンオフシリーズを交えながら、本編シリーズは97巻(22年9月現在)にまで及んでいる。(画像は、2019年に公開された『「ほんとにあった!呪いのビデオ」20周年特設サイト』より)

「ほん呪」に代表される“心霊ドキュメンタリー”作品は、主に怪奇現象が映り込んだ投稿映像や、映像内の不可解な現象の背景を追ったドキュメンタリーパートで構成され、一部の好事家から堅実な支持を得ている。心霊ドキュメンタリー作品の多くは、オリジナルのビデオシリーズとして流通。作品内の投稿映像は、テレビのホラー番組で引用されることも多いため、読者も一度はその映像を目にしたことがあるはずだ。そして、同ジャンルが採用するドキュメンタリー形式での「実在するいわく付きスポットの訪問」や「実話の背景調査」といった要素は、近年人気を博すホラーコンテンツとも共通する部分が多く見られ、その源流のひとつといえる。

00年代初頭から心霊ドキュメンタリー作品を数多く手がける映像作家の寺内康太郎氏は、同ジャンルをめぐる近年の状況について次のように語る。

「私が心霊・ホラージャンルで仕事を始めてから20年ほどたちますが、今が一番盛り上がっているという実感はあります。

YouTubeやNetflix、あるいはツイキャスのようにメディアが多様化し、いろんな人がさまざまな形で世の中にコンテンツを発信できるようになりました。その結果、多くのジャンルでファンや需要が分散するタコツボ化が進みました。

今はYouTubeなどで、心霊ドキュメンタリー的なコンテンツを発表する若いクリエイターたちも現れ始めています。そもそもホラーというのはニッチながらずっと熱心な支持者がいるジャンルですので、心霊系YouTuberも一定のファンを獲得。そして、数あるタコツボのひとつとして、心霊は世間的にもそれなりに需要のあるジャンルとして認識されるようになったのです」

心霊ドキュメンタリーの作品群の中には、民俗学や神話、オカルトに加え、宗教やカルト団体を彷彿とさせるイメージや設定が用いられることがままある。たとえば、怪奇現象の背景に白装束の集団や謎の儀式が存在していたり、呪物や御札といった宗教、あるいはオカルトめいた場所や道具が登場するといった具合だ。

そこで本稿では、近年人気を博す心霊ドキュメンタリーと宗教・カルト的表現の関係について考察していく。

なお、基本的に心霊ドキュメンタリーは作品の性質上、映像そのものをフィクションと断言することはない。一方、ドキュメンタリー的手法を用いながら、観衆にフィクションと明示する作品は“フェイクドキュメンタリー”と呼ばれる。真偽不明とされる“心霊ドキュメンタリー”と、あくまでフィクションを掲げる“フェイクドキュメンタリー”は別物だ。しかし、寺内氏がフェイクドキュメンタリーシリーズ『Q』を手がけるように、一部のクリエイターが共通するなど、両者は近親的なジャンルでもある。ここでは主に心霊・ホラージャンルにおいてドキュメンタリーという体裁を取る映像作品として、共に扱うこととしている。

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