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第1特集
女子は恋愛をしたいわけじゃない

「若い女子にモテる」は完全に幻想! イケオジという“非実在おじさん”

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いつの間にか人口に膾炙した“イケオジ”という言葉。ネット上には関連の記事やブログなども少なくないが、若い女性と中年男性がそれぞれ理想とするおじさん像の間には絶望的に大きな溝がある――。著書『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)が話題沸騰中のライター・稲田豊史氏が、イケオジをめぐる現実に迫った。

キムタクのインスタ署名がかわいい♥
令和のイケオジ俳優五傑

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ネット上の「イケオジ俳優ランキング」のような記事で上位にランクインするのが、これらの人物たちだ。それぞれの真の魅力を稲田氏が分析する! ※年齢は6月18日時点
(絵/黒木仁史)

若作りしないのがカッコいい
【1】松重豊
59歳/既婚
昨今の当たり役である『孤独のグルメ』の井之頭五郎が取り組むのは「メシ」一辺倒であり、異性との絡みはない。西島秀俊同様、演じる役柄のイメージが恋愛要素から遠いのだ。B子さんからはこんな報告も。「Z世代調査の中で『イケオジになりたい』と言っていた男性がいたんですが、彼の理想は今年1月に開催されたヨウジヤマモトのファッションショーに出ていた松重豊さんでした。若作りしていない白髪が超カッコいい、って」

恋愛関係に発展しない役柄
【2】西島秀俊
51歳/既婚
イケオジ界の横綱。当たり役である『きのう何食べた?』の弁護士は超生真面目で、美容師で最愛のパートナー・矢吹賢二と暮らすゲイ。つまり異性へのモテ志向もなければ恋愛的な丁々発止とも無縁だ。『ドライブ・マイ・カー』で演じた舞台俳優も、亡くした最愛の妻が忘れられないストイックな役で、劇中で雇う女性運転手とは一切恋愛関係に発展しない。恋愛色のある役柄イメージがついていないことはイケオジ俳優のマスト要件。

キザなおじさんから好転
【3】木村拓哉
49歳/既婚
若い頃からスター的なイケメンとして若い女性に人気だったアーティストがイケオジ化した好例、その二大巨塔が福山雅治とキムタクだ。「長らくカッコつけてるキザなおじさんという印象でしたが、SMAP解散後に始めたインスタに娘さんとの写真や犬の散歩写真を投稿していて、株が上がりました。家族好きなんだなって。インスタの最後に署名で“拓哉”って入ってるのも、おじさんぽくて逆にいい。かわいいです(笑)」(B子さん)

醜聞とは無縁のイケボ独身
【4】竹野内豊
51歳/独身
「MEN'S NON-NO」(集英社)出身、90年代後半には『ビーチボーイズ』(97年)をはじめ典型的なモテ役・イケメン俳優のイメージが強かったが、加齢してからは生真面目なキャラクターと落ち着いたイケボが人気を集める。「とにかく顔がいいし、スタイリッシュで人に媚びない感じ」(A子さん)。現在に至るも独身。過去にさまざまな女優との交際が報じられているが、泥沼的なスキャンダルとは無縁。「恋多き男」のイメージもない。

妻の尻に敷かれるコワモテ
【5】遠藤憲一
60歳/既婚
コワモテの激渋ボイス。かつては悪役を演じることが多かったが、ここ10年ほどは親しみやすいコメディタッチの役柄も演じる。元タレントの妻は自分が所属する事務所の社長兼マネージャー。「バラエティ番組で広瀬アリスさんなど若い俳優と仲がいいというのを知り、親しみやすい方なんだなと。奥さんの尻に敷かれているというSNSでの発信もうまい。おじさんだけど今の時流に合わせようとしている健気さは好感度が高いです」(A子さん)


「イケてるオジさん」あるいは「イケメンのオジさん」、略してイケオジ。芸能人で言えば、西島秀俊、竹野内豊、松重豊など、アラフィフ以上で中年の渋みが出ている俳優の名前がよく挙がるほか、『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr.といった海外勢、アニメ『TIGER & BUNNY』の鏑木・T・虎徹といった2次元勢がここに加わることもある。当然ながら、イケオジに血道を上げているのは基本的に女性だ。

「イケオジ」とググって出てくるのは、「イケオジ芸能人ベスト△△」「イケオジの条件」「モテるイケオジになるには?」「イケオジの身だしなみ」といった類いの記事やブログ。後三者には「体を引き締める」「シャツや革靴に気を遣う」「女性を立てる」「部下(の女性)をサポートして頼られる存在になる」といったTo Do、つまり男性に向けた内容が多い。

イケオジを目指していると公言する男性たちのツイッターアカウントもいくつか確認できる。そこでは筋トレやアンチエイジング美容に励む姿が日々投稿され、既婚者ながらガールフレンドと遊んでいることを公言する40代男性もいた。
 
ここからは、「イケオジになれば若い女性にモテる」的な短絡図式が見え隠れしないでもない。実際イケオジの定義を「いつまでも若々しく、女性から恋愛対象とされる」とするサイトもあった。……が、邪な中年男性の目指すイケオジ像と、当の女性が定義するイケオジにはかなりのギャップがある。

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