サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 小学校で【疑似科学】が使われる理由
第1特集
道徳教育と疑似科学の関係【1】

水からの伝言、EM菌、親学…… 小学校で疑似科学が使われる理由

+お気に入りに追加

――小学生の頃に水に向かって「ありがとう」と言い続ければ、きれいな結晶になるという、「水からの伝言」を道徳の時間で習ったことのある若者が多数いる。小学校では疑似科学的なものが教えられがちだが、なぜ教育現場や道徳教育において、非科学的なものが入り込めるのだろうか?

「ありがとう」などの言葉を紙に書いて見せたり、声をかけたりした水からは、きれいに整った結晶ができ、反対に「ばかやろう」など汚い言葉を見せた水からは、崩れた結晶ができる──。多くの小学校の「道徳」の授業で言葉遣いの大切さを教える教材として重宝されていた『水からの伝言』は、知る人ぞ知るオカルトとして名高い。

そんなオカルト的な言説が教育現場に入り込んでいる事実は、のちに世間で問題視された。「疑似科学」の検証を行う大阪大学サイバーメディアセンター教授の菊池誠氏は、「水からの伝言はスピリチュアル系の人たちの間で広まった一種のオカルトで、絶対にあり得ない非科学的な話です」と、断言する。

「当時、水からの伝言を授業で使っていた先生にも話を聞きましたが、必ずしも盲信していたとも言い切れない。かといって、真っ赤な嘘と知りつつ、子どもに教えていたというわけでもなかったようです。科学にはまだ解明されてないことがたくさんあるという感じで『まあ、あり得るよね』程度には信じていたんでしょう」(同)

著名なところではオノ・ヨーコや松任谷由実なども水からの伝言に関心を示していた時期もあるそうだが、学校教育で水からの伝言が使われた背景には、神秘主義者たちの間での流行とは、少し違う事情があったようだ。

「道徳教育、この場合だと子どもの言葉遣いの大切さを教えるのに、『水からの伝言』はわかりやすくて便利だったんです。2015年に指導要領が改訂されるまで『道徳』には検定教科書がなく、先生が自由に副読本などの教材を用意できた。逆に言うと授業の題材を自分で考えなければならない。教材に困っていた先生たちにとって『水からの伝言』は格好の題材で、広く教育現場で使われたんです」(同)

水からの伝言が「道徳」の授業の題材として浸透する過程で、重要な役割を果たしたのが、教育技術法則化運動を推進する「TOSS(Teachers' Organization of Skill Sharing)」なる団体である。

「教育技術法則化とは教育方法の法則化という意味で、教育効果の高い指導方法を考案し、広く提供することを目的にしている団体です。各科目や単元ごとに、こうすればうまくいくという授業の手順やシナリオを公開していて、その中でさまざまな教材や題材を一緒に紹介している。私は教育技術法則化という考え方自体に、かなり否定的な立場ですが、4半世紀ほどの歴史がある団体です」(同)

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2026年11月号

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界
    • 「沼化」するエンタメ業界
    • 膨らみ続けるグラビア市場
    • SNSがつくる「あなたの好み」
    • 映画界ハラスメントの実態
    • ゲーム実況者の高齢化問題
    • PS、ディスク販売廃止の衝撃
    • 私たちは「ドパガキ」なのか
    • AI時代の「生歌」の価値
    • 「ニコ生ホラー」とは何だったのか
    • テクノロジーが広げる学びの未来
    • AI時代のサイバー攻撃
    • リングを彩る美女たち
    • 〈Cosplay beauty〉もちむぎ

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 滝藤賢一、名バイプレイヤーの境地
    • 唯一無二の音楽家・水槽
    • 小八重葵美が得たもの

連載

    • [マルサの女]高橋凛
    • 神保哲生×宮台真司の「TALK ON DEMAND」
    • 萱野稔人と巡る「超・人間学」
    • ドクター苫米地に聞け!
    • 井川意高の天上夜想曲
    • 韮原祐介の匠たちの育成哲学
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • GROOVE SEQUENCE
    • 笹 公人×江森康之の「念力事報」
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」
    • 花くまゆうさく『カストリ漫報』
サイゾーパブリシティ