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丸屋九兵衛の「バンギン・ホモ・サピエンス」【14】

【LeBron James】NBA王はアニメでも活躍!

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――人類とは旅する動物である――あの著名人を生み出したファミリーツリーの紆余曲折、ホモ・サピエンスのクレイジージャーニーを追う!

LeBron James

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(絵/濱口健)

03~10年がキャヴァリアーズ、10~14年がマイアミ・ヒート、14~18年が再びキャヴァリアーズ、以降がロサンゼルス・レイカーズ。インスタフォロワー数はスポーツ界5位、米国人アスリートでは最強(上位はサッカーとクリケット)。

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若い若いと思っていたアーティストやアクターが、いつの間にか三十路後半、それどころか四十路にまで突入していることに気づいて驚く……ということがままある。今やVERBALが40代半ば、ビヨンセが今年40歳。ジャネール・モネイですら35歳だ。

それはもちろん、彼らを見続けてきた我々も年齢を重ねているということでもある。そしてスポーツ界でも、かつての新人アスリートが重鎮への道を歩むのだ。

「NBAはヒップホップ・リスナーの基礎教養」と断言する人もいる通り、少なくともアメリカ産のヒップホップに限って言えば、もっとも親和性があるスポーツはバスケットボールであり、もっとも近しいプロスポーツ・リーグはNBAだ。ゆえに私はNBAを、ヒップホップなどのブラック・カルチャーと結びついた現代アメリカ文化として楽しんでいる。

だから、今も心に残るプレイヤーは、アレン・アイヴァーソン、シャキール“シャック”オニール、クリス・ウェバーあたり、全員がヒップホップと縁深い。しかし今日紹介する人物──かつての新人──が、NBAのトップに君臨しつつ、ヒップホップよりもマスなエンタテインメント路線を爆走するとは、予想だにしなかった。


84年生まれのレブロン・ジェームズは03年にNBA入り。コービー・ブライアントやケヴィン・ガーネット以降の「高校卒業後すぐにプロへ」というアーリー・エントリー組の次世代大型新人、という印象だった。

神戸牛を食べるNBAプレイヤーの息子として生まれ、イタリアで育ったコービーとは正反対で、レブロンが生まれたのは寂れゆく街、オハイオ州アクロンだ。父は犯罪歴多数で不在、安定した職を見つけるのに苦労する母親がひとりで切り盛りする貧困家庭。子どもの頃からスポーツの天才だったレブロンを、母が近所のフットボール・コーチ宅に預けたのは彼が9歳のときである。レブロンはフットボール選手としても類い稀な才能を発揮していた。皮肉なことに彼をバスケットボールの世界に誘うのも、そのフットボール・コーチだったが。

そんな環境だからこそ、高校卒業後のNBAアーリー・エントリーも、レブロンにとっては切実なものだったろう。もっとも高校時代の彼はすでにスター選手であり、母にハマーH2をプレゼントされたりしていたが(しかし、それは母が彼の将来性を担保にローンで購入したもの……複雑だ)。

03年、レブロンが高校からストレートにNBA入りしたのは、アクロンの隣町のクリーヴランド・キャヴァリアーズ。オハイオ州愛好家の私は好きだが、全米人気も実力も今ひとつだったチームだ。

それから18年。シャックも現役を退き、コービーも引退した(&亡くなった……合掌)今、36歳のレブロンは「NBAを代表する選手」と呼ばれて久しい存在である。

それはかつてのマイケル・ジョーダンにも似て。

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マイケル・ジョーダン主演の実写&アニメーション映画『スペース・ジャム』(1996年)の続編となる『スペース・プレイヤーズ』の主演を務めるレブロン・ジェームズ。果たして、興行収入も“キング”となるか……!? 日本公開は8月27日。(写真/Kevin Winter/Getty Images)

「レブロンのプレイは、むしろマジック・ジョンソンに近いのでは?」という意見もあるが、23という数字へのこだわりからも、レブロンが抱いているジョーダンへの憧れは明らかだ。実際に「ネクスト・ジョーダンの本命」とも形容されてきたが……まさか別の意味でジョーダン化を成し遂げようとは。

というのも、そのジョーダンが主演した96年映画『スペース・ジャム』の続編、『スペース・プレイヤーズ』こと『Space Jam: A New Legacy』(原題)にてプロデュース&主演しているのである。これには驚いた。そもそも誰が予想しただろうか? あの『スペース・ジャム』の続編が生まれようとは。マイケル・ジョーダンがバッグス・バニーと協力して、遊園地を経営する悪の異星人社長と戦う話だぞ。

バスケットボール(関連)映画は数あれど、名作とされるのは『ラストゲーム』こと『He Got Game』や『コーチ・カーター』、ニックス愛が伝わるウーピー・ゴールドバーグ主演コメディ『エディー 勝利の天使』あたりだろうか。一方、NBAアスリート出演の脱力系作品のワースト3として挙げられるのが、シャック主演のアメコミ映画『スティール』(『スポーン』と並ぶ最初期の黒人スーパーヒーロー映画ではあるが)とやはりシャックの魔人コメディ『カザーン』、そして件の『スペース・ジャム』なのだ。しかし、レブロンによる続編は……ワーナーグループの全素材を溶かし込んだ壮絶なものに仕上がっているような!


そして、レブロンの映画愛は止まらないようだ。

84年生まれのレブロンが物心ついた頃に流行していた低予算高収入なヒップホップコメディ映画といえば……『ハウス・パーティ』シリーズだ! ラップ・デュオ、キッドゥン・プレイの主演で90年、91年、94年と作られた同シリーズは、レブロンには厳しくも楽しい小学生時代の思い出だろうか。とにかく彼にとっても思い入れが深いらしく、続編制作に乗り出したのだ。

マイケル・ジョーダンより器用にエンタテインメントの世界をも泳いでいきそうな――その意味では、やはりマジック・ジョンソンに近いのか?――レブロン・ジェームズ。00年代前半の我々には予想もできなかった柔軟さで疾走する“キング”に、今後も注目したい。

丸屋九兵衛
ストレイト・アウタ・伏見稲荷なオンライン・トーカー。元・音楽誌編集者だが、もう編集はできないと思う。でも現在は著書執筆中(それは編集ではない)。7月末からはYouTubeで新企画開始。9月初頭には第5回『丸屋九兵衛 meets 町山智浩』予定。詳細はPeatix、もしくはツイッター〈@QB_MARUYA〉にて。

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