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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【58】

界隈から追い出される若者と雑誌の寿命――幽霊、雑誌もまた老いて死んでいく。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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とはいえ、創刊から5年くらいは熱心な読者だったので残念です。京橋のフィルムセンターで昔の邦画を観るのが好きだったから。

 昨年末、映画系サブカル界隈で起きた難儀な泥仕合の最中、映画秘宝の休刊が発表された。実際には経営コストの高騰に悩んでいた洋泉社が宝島社へ吸収合併されたからだが、初代編集長を糾弾した映画研究家も、創刊の功績に端を発する権威の衰えが近いことを知っていたのだろう。下剋上のチャンスだと。実は筆者も三代目(現:大山くまお)の時代に執筆しているのだが、初代と二代目が作り上げた「界隈」から「あんなオタクに書かせるな」という苦情があり、すぐに縁が切れた。サブカル系の雑誌に書くとだいたいこのパターンで、オタク系の雑誌に書くと今度は「あんなサブカル野郎に書かせるな」と言われて、どっちだよ、と思うのだが。面倒くさいので、近年は実話誌や経済ゴシップ誌といった「どちらでもない雑誌」で書いている。実際、ジャンルに依拠する濃い批評家ではなく、薄く広く偏っているだけのコラムニストだとデビュー25年目でようやく気づいたので、どちらでもないほうが楽しいのだが、匕首を突きつける動機もわからなくはない。面倒くさがらずにその界隈でのし上がろうとするなら、いつかは親分の首を取らなければならないからだ。サブカルでもオタクでも、マニア向けジャンルライターの世界はニホンザルの猿山に似ていて、ボス猿のご機嫌を損ねると容赦なく山から追い出されるが、権威が衰えれば、追い出されるのはボス猿のほうだ。

 そういう世知辛い人間関係が嫌で、近年は原稿依頼の窓口すら本誌編集部に任せているのだが、そんなことを考えていたら、テレビブロスの休刊も発表された。過去のコラムでも書いたが、こちらは隔週刊から月刊へ移行した2年前の時点ですでに寿命は尽きており、ソフトランディングのために続けていただけだ。そう、雑誌には寿命があるのだ。筆者は編集者やライターで、マンガ誌やゲーム誌の休刊にいくつも立ち会い、憤ったこともあるが、あとから振り返ると、寿命だったんだな、と思うことは多い。逆に「もう終わりだな」と思って降りたら、そこそこ続いて驚いたケースもあるが。「あんなオタクに書かせるな」という苦情に従い、映画秘宝からの暖簾分けで創刊したオトナアニメだけどさ。

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