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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【56】

連綿と続く「恨」の文化とカルトの理論――幽霊、少年マンガとあたく史を語る。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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今回のマンガ特集で書いたバカ記事は『まんが編集術』(西村繁男/白夜書房)と、この雑誌の特集企画の続きみたいなものだ。

 物心ついた頃から週刊少年ジャンプを読んでいた。75年生まれの筆者は79年のガンダムを本放送で観た最後の世代だが、『ドーベルマン刑事』は終了間際で、『こち亀』には入れ墨警官の戸塚がいた。初めて買った単行本も『リングにかけろ』と月刊少年ジャンプの『バイオレンス特急』(中島徳博)だ。小学生の頃はジャンプとコロコロコミック、たまに『スプリンター』(小山ゆう)や『炎の転校生』(島本和彦)目当てのサンデー、エロコメ目当ての月刊少年ジャンプという購買シフトで、マガジンを初めて買ったのは86年、安達哲のデビュー作『卒業アルバム』が載った号だった。マガジンは田舎者の雑誌だと思い込んでいたからだが、そのくせ『AKIRA』(大友克洋)が載っていたヤンマガはたまに読んでいた。そのあと海外へ引っ越したので、日本人向けの貸本屋で新旧問わずあらゆるマンガと小説を読みまくり、出版業界に憧れるマニアな少年が出来上がったが、海外にいたから、宮崎勤の連続幼女誘拐殺人事件に起因するオタクバッシングの直撃は免れた。

 日本に帰ってきた筆者は厳しい学生生活の中、再びオタク文化へ接近したが、バッシングへの「恨」を持たないので、周囲の空気を読むことができず、それゆえに怒られることも多かった。オタクというトライブは結局、バッシングする社会への「恨」を受難者の聖痕として連帯するカルトだったのだが、筆者の「恨」は社会ではなく、聖痕を持たない異端として筆者を叩く者たちに向けられた。マイナー系マンガ誌の創廃刊を論じる同人誌を作り、批評に手を染めたのは、カルトの中に居ながら異端とされている自分が何者かわからなかったからだ。

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