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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

元恋人兼マネージャーが証言した歌姫の「ホテル大暴れ事件」…実録・中森明菜伝説<後編>

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『中森明菜 THE LIVE DVD COMPLETE BOX』(ユニバーサル ミュージック)

 年末が近づくと決まって出るのが中森明菜(52)の話題だった。「紅白に出る」「コンサートを開催」と言った話が主だったが、一昨年の「紅白」に米国のレコーディングスタジオから中継で出演したのを最後に、昨年から噂は途絶えた。それでも明菜はディナーショー限定でファンの前で歌うことになった。

「根強いファンの多い明菜がファンの為に歌える場所はホテルのディナーショーが最適。コンサートと違い、歌う楽曲も少なくて済むし、ファンを大切にする気持ちを伝えられる。明菜のディナーショーは値段に関係なく人気が高く、今年もほぼ完売。ディナーショーの売り上げとCDの売れ行きだけで、十分な収入を得られる。今後もテレビに出ることなく、同じやり方で通していくと思います。新しい形の歌手活動ですが、明菜だからできること」(音楽関係者)

 明菜にはデビュー以来、「扱うのが難しい歌姫」と言われ続けた歴史がある。

「キレるとなにをするかわからない」

 歌姫を御することができるのは、彼氏しかいない。彼氏と言われて6年間、個人マネージャーを務めた元・六本木の黒服A氏が「最も衝撃的だった」というエピソードを紹介する。

 97年頃の事だった。A氏に化粧品会社から「明菜さんをCMに使いたい」とオファーがあった。契約金5千万円。売り上げからロイヤリティーとして10%を出すという、当時としては破格の話だった。明菜も乗り気で撮影地のマレーシア・クアルランプールに飛んだのだが—

「撮影の途中で話がおかしいと思い始めました。仕事の仲介役だった代理人がドロンしてしまったのです。これは推測ですが、契約の内容もでたらめで、中間搾取した金を持って逃げたのではないかと思います。とはいえ、異国の地。どうすることもできずにいると、明菜は突然、ホテルの部屋でキレてしまった。夜遅く、明菜の部屋から爆音が響いてきたのです。ガチャガチャどころか、ガラスが割れるような音まで。慌てて部屋に行ってみると、足の踏み場もないほどすべてのものが破壊されている状態。テレビから高そうな壁の絵までなにもかも。明菜も割れたガラスで切ったのか、手が血だらけ。その中で明菜はさらにステレオの音を大音量で響かせていたから、同じフロアーの客が何事かと部屋を覗きに来た。“恐い”と逃げる人までいました。僕は唖然とするだけで、言葉を失ったままでした。明菜に問い詰めるのはとても無理だった。それよりも、この部屋の弁償金はどうなるのだろうと不安になった。海外のホテルの一室。明菜が有名な歌手であることなど誰も知らない。CM契約はご破算。おまけに損害金。1千万円ぐらいは覚悟しました」(A氏)

 ホテル側との話し合いの結果、200万円程度で落ち着いたという。

「ホテルとの話し合いがついたことを明菜に言っても、明菜に悪い事をした意識はなく、平然としていました。で、僕に言った言葉は『オマエが悪い』の一言でした。帰国後、しばらくして明菜から一方的に解雇通告を出されました」

 A氏はそんな明菜との日々をこう振り返った。

「自分なりに明菜の為に一生懸命、マネージャーとして勤めてきましたが、突然の解雇は寂しかった。でも、どこかで明菜から解放されたいという気持ちもありましたから、ほっとした部分もあります」

 最後にA氏は明菜をこう分析した。

「明菜は感情の起伏が激しい人。仕事も私生活も順調なときは、とてもいい子ですが、なにかうまくいかないことが起きると、どうなるか予測不能。芸能界に入り、騙されたり、裏切られたりしたことが、人間不信の原因になっているような感じもしました。だから可哀想だと思うことも多々ありました」

 そんな彼女も最近は、彼氏といわれる個人マネージャーとマンツーマンでうまくいっているという。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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