サイゾーpremium  > 連載  > 佐々木俊尚のITインサイドレポート  > 佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第103回/大統領選を揺るがした【フェイクニュース】
連載
佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第103回

感情が事実を凌駕する―― 大統領選を揺るがした「フェイクニュース」の横行

+お気に入りに追加

進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

1702_sasakibks.jpg
「Newsweek 2016年12/27号」(CCCメディアハウス)

日本のネット空間では、特に東日本大震災以降「デマ」の横溢が問題視されている。そしてこうした動きはもちろん、日本国内に限った話ではない。アメリカでも現在、ニュースの分野においてフェイクの横行が問題になっている。リテラシーの向上ばかり唱えても改善しない状況に、どう立ち向かうべきだろうか?

 アメリカのメディアは今、「フェイク(偽)ニュース問題」で騒然となっている。例えば、こんなフェイクニュースがある。

「ワシントンにある『コメット・ピンポン』というピザ店が、小児性愛や児童売春の拠点になっており、ヒラリー・クリントンもかかわっている」

 荒唐無稽な話だが、真面目に信じた人もいて、ネット上では「ピザゲート」という疑惑名称までつけられて流布している。12月4日には、なんと現実の事件にまで発展した。20代の男がこの店に銃を持って押し入って発砲し、警察に逮捕されたのである。男は「ピザゲートを自分で確認しようと思った」と供述したという。

 このピザゲート疑惑は、前々から問題になっていたヒラリーの私用メールサーバー問題が発端になっている。メールの中に、ヒラリーが小児性愛のグループとやりとりしている内容が含まれているという根拠のないデマを、誰かがツイッターに投稿した。これがリツイートされて拡散し、さらに米国版2ちゃんねるとして知られる匿名掲示板「4chan」や右派のまとめサイトなどでも広まり、フェイスブックにも波及して、全米で知られるようになった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年8月号

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 小栗有以(AKB48・アイドル)──多忙な日々の中で心と身体の調和を保つ秘訣とは
    • 水道橋博士(お笑い芸人)──「うつ病」発症は国会の重責が原因ではなかった?
    • 3li¥en(アーティスト)──キャリアは浅くとも人間味がディープすぎるフライガール

連載

    • 【マルサの女】つんこ
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【最終回】【AmamiyaMaako】スタジオはいります
    • 【Yoru】艶やかに躍動する 気韻生動の肉体美
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【アンジェラ芽衣×梅本剛史】身長172センチの女性モデルが “あえて”ツナギを着てみた!
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ