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連載
法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【39】

司法試験の不人気は、 国家にとって益するという“逆説”

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

今月のニュース

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法科大学院の9割定員割れ
2015年9月に発覚した司法試験問題漏洩事件の背景には、法科大学院を取り巻く昨今の厳しい状況がある。14年度の法科大学院への入学者数は、全国67校の定員3809人に対して2 272人と06年度の4割弱にまで減少し、全法科大学院の9割以上が定員割れ。志願者数も04年度の16%に満たない1万1450人となり、入学者の募集停止や統廃合を余儀なくされる法科大学院が続出している。


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『世紀の司法大改悪 弁護士過剰の弊害と法科大学院の惨状』(花伝社)

 明治大学法科大学院の青柳幸一元教授が教え子の女性に司法試験の問題と模範解答を漏洩したとして、2015年10月に国家公務員法違反罪で在宅起訴された事件。前回は、“司法試験の異常な難しさ”を切り口に事件をひも解きつつ、司法試験制度の“歪み”について考察しました。

 それを踏まえ今回はより俯瞰的に、法科大学院制度の実情という大きな枠組みに目を向けて、事件の背景をさらに深く探ってみたい。というのも、事件の発生要因としては、元教授自身の個人的な事情だけでなく、法科大学院が直面している惨状という大局的なものが大きかったと考えられるからです。それを明らかにした上で、国家設計の根幹に関わる司法制度のあり方について考えていきたいと思います。

 法科大学院は、司法制度改革の一環として、いわゆるアメリカ型の訴訟社会、すなわち司法を国民にとってより身近なものにし、あらゆる問題を裁判によって解決する国家への移行に備えるため、法曹の人口拡大と人材の質の向上を目的に04年に新設された制度です。政府は、それまで年間1000人程度だった司法試験の合格者数を一気に3000人まで引き上げるという目標を掲げ、と同時に、従来は制限のなかった司法試験の受験資格を、基本的に法科大学院で2~3年の課程を修了した者にのみ付与すると決定。法科大学院に対しては、課程修了者の70~80%が司法試験に合格できるレベルの教育を実施するよう求めました。これを新たなビジネスチャンスととらえた各大学は、相次いで法科大学院を創設、その数は05年に全国74校となりピークに達します。

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