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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【11】

“DJポリス”賛美に見る治安維持の本当の難しさ

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の“意図”──。

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「DJポリス」
2013年6月4日、JR渋谷駅前のスクランブル交差点において、サッカー日本代表のW杯出場決定に沸くサポーターらに対し、警視庁機動隊の隊員が、「皆さんは12番目の選手です。チームワークをお願いします」などと巧みな話術で誘導。ネットを中心に「DJポリス」と評判になった。逮捕者や負傷者をひとりも出さなかったことが高く評価され、6月13日、警視庁は男女2名の機動隊員に警視総監賞を授与した。

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『総図解 よくわかる 日本の近現代史』(新人物往来社)

 サッカー日本代表がW杯出場を決めた2013年6月4日夜の渋谷・スクランブル交差点。雑踏警備のために配置された数百人の警察官のうちのひとりが、「日本代表のサポーターにふさわしく、ルールとマナーを守った行動を」等のユーモアを交えたアナウンスで数千人の群衆を誘導し、話題になりました。ネットでは「DJポリス」の呼び名で人気を博し、各メディアも好意的に紹介、結果警視総監賞まで授与されたわけですが、私には少し能天気にすぎるようにも思われた。いや、どころか私は今、強い危機感を覚えているのです。もしかすると警察は、崩壊への第一歩を踏み出してしまったのではないか、と。

 そう感じた理由については後ほど述べるとして、少なくともDJポリスのようなソフトなやり方では、日本のおとなしい若者を統御することはできても、悪名高いイギリスのフーリガンを抑えることはできないでしょう。政治・宗教上の理由などによって暴徒化した民衆ならなおさらです。つまり、国家のセキュリティ保持という観点でいえば、真の危機の際に役立たないであろうDJポリスのようなやり方は、ほとんどなんの意味も持たない。それほどまでに群衆とは本来、一般に考えられている以上の力を秘めた、恐るべき存在なのです。

 ならば、そもそも日本の警察は、過去、どのように群衆と対峙し、治安を維持してきたのか? 明治維新以降の日本の警察の群衆管理の歴史を振り返りつつ、そのあり方について考えてみたいと思います。

 治安維持に関する日本の警察の歴史をひと言で表すならば、「圧倒的な人員不足」に尽きるでしょう。12年度の全国の警察職員の定員は29万3459人。この数字だけではわかりにくいでしょうが、警察官1人当たりの負担人口を海外と比較すると、日本の全国平均が約500人、首都・東京を管轄する警視庁でさえ約300人であるのに対し、欧米諸国は全国平均で軒並み300人前後。日本の警察官の数が非常に少ないことがわかります。

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