サイゾーpremium  > ニュース  > 社会  > 今、個人情報が危ない!【北朝鮮vs.韓国】サイバー戦争の真相!?
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南北サイバー戦争はすべて韓国の仕業?

国際ハッカー集団・アノニマスに直撃! 各国に見る個人情報流出の危険性

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2013.6.25 B氏らが入手した北朝鮮の官僚たちの個人情報。「アノニマス、25日、北軍幹部20人の身元公開-世界平和脅威に対するアノニマス側の対応-」と記されている。

 今年6月、CIA元職員、エドワード・スノーデン氏がリークした情報が世界を揺るがした。

 米政府が米国家安全保障局(NSA)を使って、政府系施設、企業、一般ネットユーザーの情報を監視していた事実が明るみに出たのだ。

 スノーデン氏の証言を元に、欧米大手メディアが挙げたスクープによると、NSAの個人情報収集活動は非常に広範囲にわたっていたという。

 NSAは、米通信大手ベライゾンから入手した顧客の全通信記録をはじめ、38の在米大使館に盗聴器をしかけ、通信内容を傍受していたとも言われている。その中には、日本や韓国の在米大使館も含まれていた。

 極めつけは、コード名「PRISM」と呼ばれるインターネット情報収集システムの存在だ。システムの全貌は謎に包まれているものの、インターネット関連会社のサーバーにアクセスし、膨大な量の個人情報を収集していたという。そこには、メール、通話記録、画像などあらゆる情報が含まれる。たとえば個人ブログに書いた「昨日食べたおしゃれな夕飯」や「恋人同士の痴話げんか」など、プライバシーにかかわる些細な情報まで、NSAに収集されていたことになるのだ。

MEMOアノニマス
メンバーが匿名で活動する、国際的なハッカー集団。日本では最近だと、今年5月31日までに日本政府に捕鯨を辞めるように求めるメッセージをYouTubeに投稿し、話題となった。

 こうしたスノーデン氏の問題が拡大する中、情報をめぐるもうひとつの事件が起きた。韓国と北朝鮮を襲った大規模なサイバー攻撃である。

 6月25日、韓国の大統領官邸・青瓦台のホームページが停止。その後、韓国政府関連施設やテレビ局など、計16施設が相次いでサイバー攻撃の標的にさらされた。結果的に、韓国軍将兵30万人、大統領府サイトを利用した一般ユーザー20万人分の個人情報など、韓国政府が保持していた機密情報が世界中に流出するという事態にまで発展した。

 同事件に関して、ツイッター上で犯行声明を出したのは、アノニマスを自認するメンバー。世界中で暗躍する国際ハッカー集団のメンバーが、今回の事件を起こしたと宣言したのだ。

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ハッキングされた際の青瓦台のホームページ。アノニマスの画像と共に、「統一大統領─金正恩将軍様、万歳!」の文字が。

 しかしその数時間後、事態は奇妙な展開を見せる。ツイッター上で、別のメンバー・B氏がアノニマスの犯行を否定すると同時に、自分たちは北朝鮮の複数の施設サーバーをハッキングし、軍事機密を入手したという声明を発表したのだ。編集部ではこのB氏に直接接触することに成功。騒動の真意について、話を聞いた。

「僕らは北朝鮮の体制に対して不満を持っているんだ。彼らが韓国を馬鹿にして無視しているのが気に食わなかった。韓国は決して無視されるような存在ではないということを見せつけてやりたかったんだよ」

 ここでB氏が言う、「北朝鮮が無視している」というのは、6月12日に行われるはずだった南北当局会談の一部始終を指す。北側は、会談にのぞんだ韓国政府担当者の“格”が自分たちと見合わないとし、会談を放棄したのだ。

「そんな時、青瓦台などのハッキングが相次いで起こり、アノニマスの仕業だと騒がれた。だから、北側の情報を流出させることで、アノニマスは韓国社会の味方だと証明したんだよ。今回の#OpNorthKorea(オペレーション・ノース・コリア)【編註:アノニマスが今回の北朝鮮へのハッキング作戦につけたコード名】には、アノニマスメンバーが13人ほど参加しているが、そのうちの誰も、先の青瓦台への攻撃には関与していない。また、我々が入手した北朝鮮の軍事機密とは、住民の情報からミサイルの位置に至るまで、多岐にわたっている。量でいうと130 GB程度。今はまだ手元にあるが、メンバーと相談して公開する方法を決めたい」(前出・B氏)

 青瓦台でのサイバーテロ事件が起きた翌日、韓国のテレビ局の取材に応じたB氏は、「青瓦台への攻撃を仕掛けたのは北朝鮮。その証拠も掴んだ」と語り、得た情報については「朝鮮半島で紛争が起こる可能性があるので、ウィキリークスを通じて公開する」というコメントを残した。

 そして、この発言を受けた一部韓国メディアは、北が力を誇示するためにやったのではないか、と報じ、両国を巻き込んだ一連のサイバー攻撃が、“サイバー戦争”だという仮説を立て始めている。奇しくも、青瓦台のサイバーテロが起こった6月25日は、朝鮮戦争停戦60周年を迎えた日だった。

南北サイバー戦争はすべて韓国の仕業?

 しかし、一連のサイバーテロの動機については、疑問も残る。冒頭のスノーデン氏が暴露した米の情報収集の裏には、いわゆる”テロ防止”や、自国の国益保護を外交戦略に組み込むための材料探しという側面があった。一方で、今回の韓国・北朝鮮の騒動は、ステークホルダーは誰なのかなど、不明瞭な部分が多いのだ。

 北朝鮮情勢に明るい関係者K氏はこう話す。

「対外的には公表されていませんが、北朝鮮には、サイバー部隊があります。僕が北朝鮮で参加したとある青年会議では、米国防省のハッキングに成功した若者が表彰を受けていました。ただ、彼らが青瓦台のサイバーテロを起こしたかと言われたら、不可解な点が多すぎる気がします。もし仮に北朝鮮の仕業だとしたら、わざわざアノニマスのふりをする必要がないですからね」

 さらに、ハッキングされた青瓦台のホームページには、アノニマス軍団の画像とともに、「統一大統領・金正恩将軍様、万歳!」という言葉が掲げられていた。北朝鮮のサイバー部隊の仕業だとすれば、彼らの国民性から考えて、自国の尊い代表の”威厳”をこう軽々しく使うことはあり得ない。仮に、何者かが北朝鮮の仕業に見せかけようとしたのだとしたら、政治的かつネット的な洒落を理解できる韓国国内の人物である可能性が高い。

 実は今年4月にも、前述のB氏らをはじめとする韓国のアノニマスグループが、北朝鮮のサイト『わが民族同士』から個人情報を流出させる事件が起きた。そして、この時のデータには、親北派の韓国人の名前も多く記載されており、“反北”を基盤にする公安当局は、彼らの身辺を調査すべきだと主張した。“赤狩り”を復活させようと、右派文化人や政治家を焚きつける行動に出たのである。ここで突如政府が見せた言論統制的兆候に関しては議論が持ち上がり、韓国国内では、民主化勢力による反発が起きていたのだ。

 そんな情勢を背景に、韓国政府に反対する民主化勢力が、『情報の自由』を掲げるアノニマスに変身し、自国主要施設に対してサイバー攻撃を仕掛けたのではないかとも、一部では囁かれている。

 一方、ハッキング作戦を終えた当日、前出のB氏はツイッター上でこんな言葉を残した。「情報を提供したのは俺なのにほかのやつが誉められている。やりがいがあまりない」「(渡した情報を)どこが一番先にニュースにするだろうか。メディアの力を試してみよう」。考えたくもないが、そもそも政治的な目的もなく、ただゲームのように情報流出合戦が繰り広げられた可能性も捨てきれない。

 事実関係がどうであるにせよ、たった1日の間に韓国・北朝鮮から、大量の情報が流出し、そこには軍事情報とはまったく関係のない、一般ユーザーの個人情報が含まれていたのは、先に述べた通りだ。

 このようなサイバー攻撃騒動に対し、日本も無関係ではないだろう。総務省管轄の独立行政法人・情報通信研究機構の調査によれば、12年度に日本の政府機関や企業が受けたサイバー攻撃の回数は、およそ78億件にまでのぼるという。調査が始まった7年前の統計が約3億件だったのに対し、26倍にまで膨れ上がっている。

 アメリカが誇る巨大監視システムや、アノニマスら愉快犯的なゲリラ活動が跋扈する昨今、知らぬ間に情報が奪われる可能性が日を追うごとに高まっている。

(文/河 鐘基)

日本への12年度のサイバー攻撃数

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■アノニマスのサイバー攻撃
 6月25日、国際ハッカー集団「アノニマス」が、北朝鮮へのサイバー攻撃を行い、同国の国営メディアのサイトが一時開けない状態になった。そもそもアノニマスは、かねてより、朝鮮戦争の停戦日である6月25日に北朝鮮のサイトを攻撃し、内部資料を公開すると予告していた。それが現実となり、北朝鮮はアノニマスについて、「アメリカと韓国の情報機関が背後で操っている」などと非難している。また、アノニマスの日本での活動については、昨年6月、日本で可決された違法ダウンロード刑事罰化に対する抗議活動の一環として、日本の財務省、自民党、JASRACなどのサーバーをダウンさせるなどしたことが記憶に新しいだろう。

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