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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

野生動物の死をめぐるドラマ

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2012年撮影(c)宮崎学

 写真家・宮崎学の作品に「死」というシリーズがある。山中で朽ちていく野生動物の死骸を、赤外線感知装置付きのロボットカメラで定点観測したものだ。一定時間ごとに自動撮影されるだけでなく、死骸に向けて照射された赤外線を何かが遮るとシャッターが下りる仕組みにもなっていて、腐臭に誘われて集まってくるさまざまな生物の様子が、彼らに警戒されることなくとらえられている。自ら動くことのなくなった野生動物の死骸は、ほかの生物の手によってゆっくりと、時に素早く動く。中心となる被写体はファインダーの真ん中に位置している死骸に違いないが、それを分解しにやってくる生物たちも、この死をめぐるドラマの重要なキャストであり、撮影者でもある。森の中の死骸がひとつの舞台装置のようにも見えてくるほどだ。

 野生動物の死骸が横たわるそこは、静かな森の中でもひときわ賑やかな場所だろう。ひとつの死骸がそのほかの生物を活気づけているように見える。死は生の終わり、生の停止であるが、自然は一時もとどまることはない。死が終わりなのではなく、死のゆるやかな終わりがあるということだ。「自然の死によって生命は、絶えることなく、連綿と連なっている」と宮崎が語るように、一個体の死はほかの複数の生と関係していくのだ。鳥たちは死骸の体毛を巣材として持ち帰り、死骸を食べた小動物たちは体内にエネルギーをため込み越冬していく。動物の死は、自然の中で一片の無駄なく再利用されるわけだ。

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