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神保哲生×宮台真司「マル激 TALK ON DEMAND」 第69回

ACTAで懸念される「ネットの自由」の終わり

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ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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福井健策氏の著書『「ネットの自由」vs.著作権: TPPは、終わりの始まりなのか』

今月のゲスト
福井健策[弁護士]

 8月3日、ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)と呼ばれる国際条約の批准法案が参議院を通過した。同法案は、著作権侵害などを取り締まるという名目で、ネット上での言論の自由を侵害する恐れがあるとして、ネットユーザーからの懸念も多く、欧州議会で否決されている。このACTAがはらむ問題について、弁護士の福井健策氏に話を聞いた。

神保 8月3日、メディアの関心がオリンピックや領土問題に集中する中、永田町では「ACTA(Anti-Counterfeiting Trade Agreement=偽造品の取引の防止に関する協定)」と呼ばれる国際協定の批准法案が参議院を通過しました。今回は、このACTAとはいったい何なのか、著作権法に詳しい福井健策弁護士をゲストに迎えて議論していきたいと思います。

 ACTAは日本が提唱した国際条約で、その目的は「締約国間の連携により民事、刑事、国境及びネット環境などでの知的財産権の侵害を取り締まるための国際的な枠組みの構築」。協議内容が気になるところですが、第38条で「秘密とされる」と規定されています。

宮台 秘密交渉の狙いは、どこにあったのでしょうか?

福井 特にインターネット上では、著作権を強化するような取り決めは、一貫して不人気です。そんななかで内容を事前に明らかにすると、批判が吹き荒れ、協定が成立する前に頓挫してしまうと危惧したのではないでしょうか。これは、日本の「違法ダウンロード刑罰化」についても同様です。

神保 事前に内容が漏れると潰されるが、通してしまえば、後で騒いでも多国間で取り決めたものなので、簡単には変えることはできない。「後の祭り」というわけですね。

宮台 「Counterfeiting(偽造)」の言葉が気になります。偽札作りなどに使う言葉ですが、違法ダウンロードによる違法複製の規制が狙いなのに、それを覆い隠すかのようです。

福井 この協定の名称自体が、きちんと内容を示しているかは、確かに疑問です。ACTAには、デジタルデータの複製に対する規制や、プロバイダー責任についての文言も入っており、海賊版や広い意味での著作権侵害などの問題も含まれます。「偽造」や「模造」というより、もう少し意味の大きい言葉が適していたかもしれません。

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