サイゾーpremium  > 特集  > 【ナショナリストな左翼】が選ぶ、右翼に対処する左翼本

──"ネット右翼"という単語が象徴するように、安直なナショナリズムが践雇する右翼。"理想論を掲げ、狭量できれいごとしか言わない"と見られがちな左翼。"ナショナリストな左翼"を自認する哲学者・萱野稔人氏に、薄っぺらな右派左派ブームに惑わされないための良書を聞いた。

bs_sayoku_kayano.jpg
(写真/江森康之)

萱野 まずネット右翼とされる人たちに対する僕の理論的スタンスについて、お話ししたいと思います。三浦展氏の『下流社会 第2章』(光文社新書)の最初に、自分が下流かどうかを確かめる「下流度チェック」が掲載されているのですが、その中に「韓国や中国はいやだと思うことが多い」という設問があるんです。

──つまり、嫌韓・嫌中の人は下流が多いと?

萱野 もちろん学問的には簡単にそうとは言い切れないのですが、ここで示されているのは、グローバル化していく社会から取り残された人々がその危機感の裏返しとして嫌韓や嫌中といったナショナリズムに走っているという構図です。社会の脇に追いやられた人々が「日本人であること」に依拠しながら自らの存在をアピールしているわけで、だからこそ彼らは「反日的なもの」に過剰に反発してしまう。この意味で、これまで左翼が行なってきたような、ナショナリズムの負の側面だけの批判はそれほど有効ではありません。なぜ彼らのようなナショナリズムが出てきたのかという背景を問題にし、彼らの危機感に響くようなことを言っていかないと、今のナショナリズムには対処できないと思います。

──現在の左翼には、それができていないと?

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2026年11月号

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界
    • 「沼化」するエンタメ業界
    • 膨らみ続けるグラビア市場
    • SNSがつくる「あなたの好み」
    • 映画界ハラスメントの実態
    • ゲーム実況者の高齢化問題
    • PS、ディスク販売廃止の衝撃
    • 私たちは「ドパガキ」なのか
    • AI時代の「生歌」の価値
    • 「ニコ生ホラー」とは何だったのか
    • テクノロジーが広げる学びの未来
    • AI時代のサイバー攻撃
    • リングを彩る美女たち
    • 〈Cosplay beauty〉もちむぎ

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 滝藤賢一、名バイプレイヤーの境地
    • 唯一無二の音楽家・水槽
    • 小八重葵美が得たもの

連載

    • [マルサの女]高橋凛
    • 神保哲生×宮台真司の「TALK ON DEMAND」
    • 萱野稔人と巡る「超・人間学」
    • ドクター苫米地に聞け!
    • 井川意高の天上夜想曲
    • 韮原祐介の匠たちの育成哲学
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • GROOVE SEQUENCE
    • 笹 公人×江森康之の「念力事報」
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」
    • 花くまゆうさく『カストリ漫報』
サイゾーパブリシティ