サイゾーpremium  > 連載  > 神保哲生×宮台真司「マル激 TALK ON DEMAND」  > 野田政権が掲げるべき増税の対価と日本の未...
連載
神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第59回

野田政権が掲げるべき増税の対価と日本の未来像【後編】

+お気に入りに追加

【前編はこちら】
【中編はこちら】

失われた20年に対する「新しい成功への道」

神保 ただ、日本には一般の有権者が選挙か世論調査以外の方法で、政治に参加したり、自分たちの政治的意思を表明する場が極端に少ないですよね。まだ民主主義が未熟なのかもしれませんが、元々一般の市民は政治との接点が少なく、いわゆる民意を吸い上げるチャンネルが整備されていないと思う。さらにマスメディアの政治報道が政局一辺倒というひどい有様です。

宮台 以前、マル激で市民科学者について取り上げ、「民主の科学化」「科学の民主化」の両方必要という話になりました。「民主の科学化」とは、〈引き受けて考え〉た上で〈知識を尊重する〉ことです。〈任せて文句を言う〉だけに終わったり〈空気に縛られる〉ようじゃいけない。「科学の民主化」は、科学を理解可能な形で伝え、人々が科学的に思考できるようにすること。例えば内部被曝によるがん増加。「統計的に有意なデータはない」と言われますが、「数値が微妙すぎて」確たることは言えないのでなく、「サンプルが少なすぎて」母集団について推定しきれない。母集団の有意な推定が可能になるサンプル数が得られるのは物凄い大災害が起こった時。でも僕らが追求したいのは、大災害が起こる前に原発をどうするか決めること。「統計的に有意なデータがない」から何もしないのは、合理的じゃない。「民主の科学化」には「科学の民主化」が不可欠。そこではマスメディアが、社会心理学者ラザースフェルトの言うミドルマンを擁し、アカデミズムとピープルを媒介すべきです。ところが日本のメディアは、高い専門性を有したミドルマンを欠きます。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年11月号

「異形と異端」が 動かすニッポン論

「異形と異端」が 動かすニッポン論
    • なぜ、我々は横浜流星に惹きつけられるのか?
    • なぜ、『べらぼう』は異形の大河なのか?
    • [特別対談]立花孝志×上念司
    • 参政党は叩かれて強くなる!
    • [対談]安田淳一監督×阪元裕吾監督
    • “因習村”源流としての金田一
    • 日本一早いプロ野球順位予想

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【かとうれいこ】27年ぶりの写真集発売、レジェンドがグラビア復帰を決断した理由
    • 【Small Circle of Friends】切なさと力強さ。正しさと優しさ。アズマとサツキの絶妙ブレンド。
    • 【日爪ノブキ】仏で国家最優秀職人章に認定された男が推し進める「人類帽子計画」
    • 俳優生活11年、木竜麻生の現在地
    • 超大物アーティストが愛用する シルバージュエリーブランド──「サーティーンデザインズ」代表インタビュー

連載

    • 【マルサの女】橘 和奈
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • GROOVE SEQUENCE──NJSとLDHの親密な関係値
    • 【特別企画3】マッチングアプリが変えた恋愛の価値観
    • 乙女たちの官能界隈
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ