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連載 宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第4回

上半期映像コンテンツを振り返る

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 気がつけば7月になってしまった。2010年も前半戦が早くも終了してしまったのだ。ということで、備忘録も兼ねて今回は上半期のカルチャー総決算、というか中間報告を行おうと思う。

 まず映画だが、日本映画では圧倒的に『告白』(中島哲也監督)が良かった。前号の「カルチャー時評」でも触れたが、原作小説(自意識系ブロガーの垂れ流しのようなもの=セカイ系的独白)への批評的介入によって、そんなプレイヤーたちの自己目的化したコミュニケーションの無限連鎖する(バトルロワイヤル的)状況を、つかず離れずの絶妙な距離感で描き出した傑作だ。プロデューサーの川村元気氏は僕とほぼ同年の31歳。同作の成功は個人的にも大きく勇気づけられる「事件」だった。

 ドラマでは、NHKの単発作『その街のこども』が群を抜いていた。これも前号で取り上げたが、フェイク・ドキュメンタリー的手法と、(『神話が考える』の福嶋亮大いうところの)偽史的想像力の合わせ技で、震災という大きなものにアプローチするコンセプトが素晴らしい。渡辺あやによる二者間のダイアローグも非常に完成度が高く、どこまでがアドリブなのかわからない空間を成立させ、フェイク・ドキュメンタリー的手法の魅力を最大限に引き出している。

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