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切ってよし、手紙にしてよし!?

未だかつてなかった"本の遊び方"

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左右のどちらからでも読み進められるように作られた、両A面仕様の本書。

 出版業界で「本が売れない!」と嘆かれるようになって久しい。しかし、その一方で近年、カフェや雑貨店など、書店ではない店に本が置かれているのを目にすることが増えた。そんな中、「どうせなら、そこで本を売ろう」ということで、本のセレクトなどを手掛ける、ブックコーディネーターという職業が登場している。

「百貨店や服屋なんかに書棚を置くというのが軽薄に見えるのか、『うすっぺらい文化だ』とか『本はそういうものじゃない』って、年季の入った本好きの方は言いますけどね(笑)」と語るのは、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さん。さらに内沼さんはそれ以外にも、美容師に本を切って作品を作ってもらう企画展や、多種多様な人が作ったブックリストを、Amazonへのアクセスのみが可能なパソコンの周囲に配置した「本が一冊もない本屋」というコンセプトのインスタレーション作品の展示など、これまでにない形で「本で遊ぶ」ことを提案し続けている。

「本が売れない原因はたくさんありますが、まずはシンプルに、受け手側に本の楽しさや必要性を伝えることから始めなきゃいけない。だから、どんな形であれ、本というものへの興味のすそ野を広げたくて。僕のやっていることに『本はそういうもんじゃない』って言える、本の楽しさをすでに知っている人はいいけど、そうじゃない人がいっぱい出てきている。そういう人に向けて、本への興味の持ち方を提案している感じです」

 ニッチにも見える内沼さんの試みだが、本の"復権"のきっかけは、こういうところにあるのかも。(編集部)

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うちぬま・しんたろう
1980年生まれ。ブックコーディネーター。新卒で入社した会社を2カ月で辞め、その後はさまざまなアルバイトをしながら、フリーランスでウェブデザインなどを手がける。同時に、本の世界にのめり込む。本稿で紹介したようなプロジェクトを手がけるうちに、現在の肩書に落ち着く。〈http://numabooks.com〉


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