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第1特集
本部はチェーンと共存共栄? いや、チェーンから搾取?

セブン-イレブン「最強ゆえの光と影」 評価する側、批判する側の言い分(後編)

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廃棄品にもチャージが!? 本部独り勝ちシステム

 続いて、前出『セブン-イレブンの真実』の執筆者でもあり、「週刊金曜日」などで、同社をはじめとしたコンビニ業界の暗部を批判しているジャーナリスト・角田裕育氏にも、セブン-イレブンの強さについて聞いた。

──セブン-イレブンの強さとは何でしょう?

角田(以下、) まず一つは、ロスチャージ【別枠コラム参照】でしょう。このロスチャージのおかげで、店舗でいくら廃棄ロスが出ても、本部は取りっぱぐれがない。むしろ、廃棄が出てくれたほうが得をするような仕組みになっているんです。本部から来るOFCは「廃棄を恐れるな」と、積極的な発注を促してきますが、それも当然の話ですよね。

──ロスチャージは、セブン-イレブン独特のものなのでしょうか?

 基本的に、コンビニチェーンはどこも「セブン-イレブンに倣え」ですから、他チェーンにもあります。ただ、この特殊な会計方式を考えたのはセブン-イレブンですから、パイオニアとしての強さはあるでしょう。店舗数が多ければ、廃棄も当然多くなりますからね。セブン-イレブンのスケールメリットが生きてきます。

──ほかにはどのような「強さ」がありますか?

 鈴木会長を"教祖"とした独裁体制ですね。社員にとって、鈴木会長の言葉は絶対です。OFCや直営店の店長は厳しいノルマを課されているのですが、これを達成するための自腹買いが横行しているそうです。自腹買いについては、鈴木会長が「絶対にしてはいけない」と禁止しているのですが、そうでもしなければノルマを達成できないので、結局してしまうのです。隔週で行われるFC会議では、鈴木会長の講話や呼びかけに、参加者全員が「ました!」(「わかりました!」の意。イトーヨーカ堂の慣習から)と叫ぶ異様な光景が見られます。ただ、私なんかが「週刊金曜日」でそのへんのところを暴露したり、マクドナルドの「名ばかり管理職」裁判の影響なんかもあって、最近はセブン-イレブンも普通の会社の雰囲気に近くなってきた、という話を聞きます。以前はカルト教団としか呼べないような会社だったんですけどね(笑)。

──ほかにはどうでしょうか?

 下請けや取引業者に対する傲慢な姿勢も、セブン-イレブンの強さを支えています。セブンプレミアムのようなPB(プライベートブランド)商品は、セブン-イレブンとベンダーと呼ばれる下請け業者とで共同で作るのですが、鈴木会長の試食の段階で何度も作り直された挙げ句、ボツになったりする。セブン-イレブンとの取引のためだけに設備投資したのに、商品の企画自体が頓挫して立ち消えしてしまっても、その費用の補填がない。こうして倒産してしまった中小企業もあるくらいです。

──それでも取引を続ける理由があるんでしょうか?

 下請け業者の大半は中小企業ですから、セブン-イレブンとの取引だけでも、かなりのキャパシティを割くことになります。そうすると、セブン-イレブンとの取引が、売り上げの大半を占めるようになってしまう。一時取引を始めたら、切られてしまうと、経営が立ち行かなくなってしまうのです。なので、無理な注文にも渋々応じざるを得ないのです。キャンペーン商品の自腹買いなども、しょっちゅうさせられているそうです。

──セブン-イレブン批判はマスコミが扱えない、という話もありますね。

 雑誌や新聞の販路として、コンビニはかなり大きな割合を占めている関係で、セブン-イレブンに批判的な報道がしづらいのは事実でしょう。でも、批判的な記事が掲載されているから売り場から排除しろとか、いくら本部が指示をしてもオーナーにはそんな余裕がない。本部も逆効果だとわかっているからやりませんよ。ほかで買えるわけですから。メディア側で勝手にタブーにしているのだと思います。

──セブン-イレブンの業績をたたえる本も多数出版されていますが、そういった本についてはどのような感想を持っていますか?

 ビジネス本として読んでいて評価できるところは、あるにはあるんですよ。でも、取材で会った、廃業した元オーナーの中に、国友隆一さん【編註:『なぜセブン-イレブンは優良加盟店をつくれるのか』(日本実業出版社)などの著書を持つ、経済ジャーナリスト・FCコンサルタント会社代表】の礼賛本を読んで、家族が止めるのもきかずにセブン-イレブンのオーナーになった、という方がいたんですよ。甘いことばかり書いてオーナーを引き込んだ、ということの責任はあると思います。また、勝見明さんは、自分の子どもをセブン-イレブンで働かせたい、なんて著書の中でおっしゃっていますが、本当にそう思っているのか、直接聞いてみたいですよ。ぜひ、今度、サイゾーでセッティングしてください!

 日本を代表するリーディングカンパニーの成功の背景には、当然のごとく光の部分と影の部分とがある。勝ち続けなければならない重責の中で、少なからず犠牲を強いているのであれば、そのフォローもまた求められる。日本を代表する「優良企業」であろうとするのならば、その姿勢は不可欠だろう。
(文/逸見信介)

■角田氏の著書■

オーナー軽視のシステムの罪
『セブン-イレブンの真実』
角田裕育(日新報道/税込1470円)

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共存共栄をうたいながら、実は本部独り勝ちのフランチャイズシステムであると厳しく批判。そのほか、社員の苦悩、取引業者への過酷な仕打ち、反抗する加盟店オーナーへの執拗な嫌がらせ......優良企業の見本として、米ハーバード大学ビジネススクールのテキストにも紹介されているセブン-イレブンの、あまり報道されない闇の部分にスポットを当てた一冊。(写真は角田氏)

FCに課せられた重責①
最高で76%が本部に......上納金は"累進課税"

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 セブン-イレブンのフランチャイズの形態は、大きく分けてAタイプとCタイプがあります。かつてはBタイプもあったのですが、こちらは今は募集をしていないので説明は省略します。

 まずAタイプですが、店舗の土地、建物共にオーナー側で用意するというものです。このタイプでは、最初に5000万円程度の出資が必要になりますが、一度店を始めてしまえば、本部に払うロイヤルティ(セブン-イレブン・チャージという)は粗利の額にかかわらず、一律43%です。主に商店などの自営業をされていた方がこの方式で始める場合が多く、平均レベルの売り上げがあると安定した経営が可能なようです。「十数年この商売をやっているが、売り上げも安定しているし、悪い商売ではない」と言っていたオーナーの方がいましたが、このタイプでの経営でした。

 もうひとつのCタイプは、本部が店舗の土地、建物を用意するというものです。こちらは初期投資が3000万円程度で済みますが、月間の売上総利益が高くなるにつれて、ロイヤルティのパーセンテージが高くなっていくのです。本部では、これを累進課税方式と説明しているようですが、最高で76%、実に4分の3以上の利益を本部に持っていかれるのです。脱サラした元サラリーマンの方などは、こちらのタイプで始めている場合が多いようですが、経営は苦しいようですね。最近は、加盟希望者も減っているようです。私が加盟説明会に行ったときも、ほかの参加者はいませんでした。

(角田氏談)

FCに課せられた重責②
オーナーを悩ます「ロスチャージ」とは?

セブン-イレブン(などのコンビニ)では、フランチャイズは、稼ぎ出した売上総利益(粗利のことだが、実際はだいぶ異なる。詳細は後述)のうち何割かをセブン-イレブン・チャージとして本部に支払うことになっています。

 しかしこの売上総利益は、一般的な粗利に、棚卸ロス(万引きされた商品)や廃棄ロス(賞味期限切れなどで廃棄された商品)までもが加算されているのです。

 たとえば、原価80円のパンを10個仕入れて、100円で売り場に出したとします。完売すれば、売り上げは1000円、仕入れの800円を引くと200円の粗利です。仮にチャージ率を50%とすると、本部へのチャージは100円、ということになります。これが仮に、9個売れて、1個売れ残ったとします。普通の会計方式なら100円の粗利の50%で、本部へのチャージは50円になるはずです。ところが、コンビニ式会計では、100円の粗利のほかに、廃棄した1個の仕入れ値、合計80円も加えて、180円を売上総利益とし、そこから50%のチャージを取るんです。180円の50%、90円を徴収されたオーナーの手元に残るのはたったの10円です。仮にすべて売れ残った場合、売上総利益は800円となり、粗利がないにもかかわらず、400円を本部に支払わなければならないのです。仕入れ値と合わせると1200円の赤字です。一部のオーナーが、このロスチャージが違法だとして本部に対して裁判を起こしました。裁判では、違法性はないとして、本部側の勝訴に終わりましたが、東京高裁も最高裁も、ロスチャージの存在自体は認めているんです。それでも、本部側はいまだに、ロスにチャージはかけていない、という主張を崩していないのです。
(角田氏談)


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