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「マル激 TALK ON DEMAND」【140】

【神保哲生×宮台真司×畑尾一知】読者4分の1減――新聞社が抱える病巣と復活への道

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――ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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『新聞社崩壊』(新潮社)

[今月のゲスト]
畑尾一知[元朝日新聞社販売管理部長]

新聞やテレビなどの大手メディアの不振が伝えられるようになって久しい――。新聞でいえば凋落は顕著で、ここ10年間で読者は25%も減っているという。「値段の高さ」「記事の劣化」「新聞社に対する反感」の3つが原因とされているが、メディアの雄、“新聞社”に残された道はあるのだろうか?

神保 マル激では番組初期の2000年代の初頭、メディアの問題をよく取り上げていましたが、最近、その頻度は落ちてきていました。その頃は、まだマスメディアに勢いがあり、「このままだと、既存のメディアはヤバい」という話をする価値がありました。しかし、その後、既存のメディアはほとんど有効な対策を打とうとせず、報道レベルも劣化の一途をたどっていったので、今この問題を取り上げても、かなり“いまさら感”があります。

宮台 アメリカの後を追った感じです。アメリカでは90年代には、すでにマスコミ論ではなくインターネット論が花盛りだった。(アメリカの法学者)キャス・サンスティーンの議論が典型ですが、「見たいものしか見ない」という、インターネットの傾向をどうすれば打破できるのか、という提案がなされたのもこの時代です。そして10年くらい前から、日本でもその議論が完全に当てはまるようになりましたね。

神保 NHKの研究所が発表している「国民生活時間調査報告書」(2015年版)によれば、日常的に新聞を読んでいる人の割合は10代で3・5%、20代で5・5%、半数以上の人が読んでいるのは60代・70代だけ。全体では33%ほどです。このまま若い世代が上にあがっていけば、いよいよ新聞はオワコンになることが避けられそうもありません。

 今回はそんな新聞に改めて光を当てるべく、元朝日新聞の販売管理部長・畑尾一知さんにお越しいただきました。今年になって出された『新聞社崩壊』(新潮社)が、2万7000部のヒットになっていますが、新聞社で書評は出ましたか?

畑尾 出ませんね。「まだ」というか、永遠に出ないと思います(笑)。

神保 日本の大手メディアは新聞とテレビの資本提携を意味するクロスオーナーシップが認められているという問題もあり、新聞が抱えている問題はテレビもほとんど取り上げません。そのためもあってか静かなブームかもしれませんが、このテーマの新書で2万部を超えるのは異例のことですね。

宮台 どうして新聞社はここまで対策を取らず、時代の変化に適応せずに、古いモデルでずっとやってきてしまったのかと。そこには、経営幹部に「自分が定年になるまでには、まだ沈まない」という発想があるような気がします。もし30代、40代の人が経営幹部であれば、もっと早い段階でさまざまな対処をしたでしょう。

神保 07年に、元毎日新聞幹部の河内孝さんが、『新聞社―破綻したビジネスモデル―』(新潮新書)という本を出され、マル激でも取り上げました。河内さんは新聞記者出身の方でしたが、畑尾さんはもっぱら新聞社の販売畑を歩んできた方です。そのため畑尾さんの本には新聞販売に関するデータがふんだんに盛り込まれていて、これまでにないアプローチで、新聞社の経営的な危機に触れています。なぜ、あえてここで世の中に新聞の問題を問おうと考えたのでしょうか?

畑尾 根底にあるのは、新聞というものはやはり、社会にとって有益なものだということです。しかし、今の新聞社が根本的な改革をして、立ち直るというのは現実的に難しい。ですから、外から救世主が現れて新しい体制を作ってほしい、という望みから書きました。

神保 全国津々浦々まで販売網を張りめぐらせる、という全国紙のモデル自体が、もう厳しくなっているということでしょうか?

畑尾 厳しいです。例えば、発行部数と実際に売れている部数には大きなギャップがあり、つまり新聞社は目に見えない負債を抱えている。さらに、戦後数十年の間に規模を拡大し、人員も給料も膨らんできた中で、時代に合わせたコストカットがまったくできていません。

神保 明らかに売れず、過剰在庫になるのがわかっているのに刷っているのはなぜですか?

畑尾 新聞社と販売店の関係では、新聞社のほうが圧倒的に強い。販売店には「普及努力義務」という、新聞を売る義務があるんです。その代わりに、そのエリアでは他の人は販売できない、という独占が認められている。ですから、読者が減ってきたからと言って、「仕入れの部数を減らしましょう」ということにはなりにくいんです。

神保 つまり、実際には売れていないのに、販売店が抱え込むことになると。

宮台 ひどいですね。親会社の、下請けへの押し付けのようになっている。

神保 その厳しい上下関係は、よく言われる――といっても、世の中には認識されていないかもしれませんが、「再販」(メーカーが小売店に販売価格を指定して守らせることは独禁法で禁じられているが、新聞は適用を除外されている)や「特殊指定」(公取によって特定の分野における不公正な取引が指定されており、新聞の値引き販売もこれに含まれる)という制度と関係あるのでしょうか?

畑尾 関係します。一般的には、独禁法でメーカーは小売店での販売価格を拘束してはいけない、というルールがありますが、新聞についてはそれを決めていいことになっている。つまり、新聞社が「4000円で売れ」と言えば、販売店は値引きはできず、洗剤をつけるなど景品で競争する、ということにもなります。

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