>   >   > オトメゴコロ乱読修行【37】/女はなぜ皆【星野源】を欲するのか?

――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

1805_cyzo1805_inada_gazou_200.jpg

「女子はだいたいEXILE(系)が好き」と言えばきっと怒られるが、「女子はだいたい星野源が好き」と言ってもあまり怒られない(気がする)。それくらい、日本人女性は猫も杓子も星野源が好きだ。

 2018年、そんな星野の国民的人気が改めて証明された。国民的人気アニメ『ドラえもん』の映画版『映画ドラえもん のび太の宝島』の主題歌に、星野が起用されたのだ。というわけで今回は、星野源に心酔するオトメゴコロを、『のび太の宝島』の作品性と国民的劣等生キャラ・のび太の属性を補助線に考察したい。今月号と来月号の前後編で「星野源好き女子分析」をお送りする。

『のび太の宝島』は、太平洋上に新しく出現した新島が「宝島」だと踏んだのび太たちが冒険の旅に出る物語だ。過去38作すべての映画ドラを鑑賞した筆者からすると、これほどまでに「全方位に気配りした」映画ドラはかつてなかった。

 感動誘発シーンのこれ以上なく親切な配置。忍耐力のない子供たちも飽きさせないアクションやギャグの連打、スピーディな展開。うるさ型のドラえもんマニアも大喜びの、過去のドラ映画オマージュや原作小ネタ挿入。親御さんたちも安心の「親子の絆」テーマ。評論家が原稿を書きやすい「エネルギー問題」モチーフ。サブカルおじさんにも気を回した『新世紀エヴァンゲリオン』の碇一家こすり、『天空の城ラピュタ』のドーラ一家こすり、そして若干の富野イズム。「具・全部入り」で多様なニーズに応え、どんな属性の客も置いてけぼりにしない、行き届いた気配りの塊。あらゆる客に対して“やさしい”作りなのだ。

 この全方位型気配りの立役者こそ、同作の脚本を担当した川村元気氏である。川村氏と言えば興収250億円以上を稼ぎ出した『君の名は。』(16年)のプロデューサー。童貞気質男子の御用達作家だった新海誠の作風に「全方位型気配り」という魔法をかけ、卑屈な童貞マインドの持ち主だけでなく、ごく普通の一般大衆にも共感できる(あらゆる客に“やさしい”)仕様にチューニングした張本人だ。

 そして『のび太の宝島』に帯びる「全方位型気配り」と「あらゆる客に“やさしい”」イズムは、星野源が愛される理由そのものである。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年6月号

オトナの写真学

オトナの写真学

忍野さら"暗室"グラビア

忍野さら
    • 【忍野さら】の危険な部分にレンズが迫る

インタビュー

連載

    • 【日向カリーナ】筑前煮が好きなんです。
    • 【優木まおみ】アイドルから教わる初心
    • 【原あや香】モグラ女子の謎の習慣
    • パラリンピック1964-2020
    • 【彩芽】とスキャンダル
    • 漫画村が開けた「ブロッキング」のヤバさ
    • 高須基仁の「全摘」
    • 異様な空気が高揚を促す【奇祭】
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【ミシェル・ンデゲオチェロ】丸刈り才女の面目躍如
    • 【森友文書改ざん】法務省が抱えた積年の恨み
    • 統合失調症や自閉症は【母親】のせい!?
    • 町山智浩/『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』正義のラケットで女生憎悪を打ち砕け!
    • 【フェイスブック】個人情報商用利用の問題点
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/燃える宇船
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【星野源】ドラえもんの歌詞の妙技
    • ガンズ・アンド・ローゼズTシャツをめぐる裏話
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、性からの逃走に聖痕の闘争を。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』