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極北漫画家・根本敬と現代美術家・会田誠が何か面白そうなことをしてるぞ!

極北漫画家・根本敬による「根本敬 ゲルニカ計画」。現代美術家・会田誠と組んで描き上げようとする21世紀の風景とは?

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極北漫画家・根本敬による「根本敬 ゲルニカ計画」。現代美術家・会田誠と組んで描き上げようとする21世紀の風景とは?の画像1

「根本敬 ゲルニカ計画」

 この言葉の響きを聞いただけで、少しでも漫画や絵画に造詣がある者ならば、胸が震えてくるのではないだろうか。

 根本敬は、言わずと知れた漫画界の極北にして、「特殊漫画」のスペシャリスト。1981年に「ガロ」でデビューして以来、『豚小屋発犬小屋行き』(青林堂、1991)、『未来精子ブラジル』など、数々の衝撃作を世に生み出してきた。

 そして、「ゲルニカ」とは、言うまでもなくパブロ・ピカソの手になる20世紀を代表した絵画。349センチメートル×777センチメートルというその巨大な壁画は、スペイン内戦中に制作されたもので、ドイツ空軍によってなされたゲルニカの無差別爆撃に対する怒りが込められている。

 そして、その名を冠した「根本敬 ゲルニカ計画」とは、21世紀の現代を生きる根本敬が、「個人の意志を超えた大きな何かに突き動かされて」《ゲルニカ》大のサイズの絵を描くという一大プロジェクトなのである。

極北漫画家・根本敬による「根本敬 ゲルニカ計画」。現代美術家・会田誠と組んで描き上げようとする21世紀の風景とは?の画像2

 7月14日、原宿のラフォーレに程近い原宿BLOCK HOUSEにおいて、この「根本敬ゲルニカ計画」と、その完成と同時に開催されることになっている「鉄工島FES」の合同記者会見が行なわれた。

 この計画の制作担当でもある太田出版の編集者にして発行人の穂原俊二氏の司会のもと、根本敬氏と共に登壇したのは、現代を代表する美術家の会田誠氏。会田氏は、根本氏の画材アドバイザーとして、この計画をサポートしているのだ。

 超個性的なふたりが並び立った記者会見のやりとりは、その作品同様個性的だった。まず、どうしてこの「ゲルニカ計画」をやろうと思ったのか、という質問に根本氏は、「マンガ家って基本的には小さいコマに絵を描いているので、それが急にゲルニカくらいのサイズの絵を描いたら、その落差が面白いかなと思ったんです。まあ根が漫画家なもので、その場その場で質問への回答が変わるかもしれませんが」と回答した。

 根本氏がいま「ゲルニカ計画」の絵を描いている場所は、羽田空港に近接する東京の突端であり、東京最後のフロンティアとも呼ばれる京浜島。工場ばかりが立ち並び、住人はひとりしかいないこの人工島にある「BUCKLE KOBO」というアトリエで、根本氏は毎日巨大なキャンバスに向かっている。

「いまは一日一回、2、3時間でもいいから行かないとというくらいBUCKLE KOBOで絵を描くのが癖になっていますね。この間韓国に行ってきたのですが、行きに成田空港に行く前にも寄って、帰ってきた日も空港からそのまま行きました。とにかく描いて来ないと気がすまない」と根本氏は制作に没頭していることを語る。

 巨大な絵を描くことはほぼ初めての根本氏にとって、強力なアドバイザーとなっているのが会田誠氏だ。会見で根本氏と同席した会田氏はこう語った。

「根本さんの描く絵の内容については、なるべく僕は影響を与えないほうがいいと思っています。ただ大きい絵を描く困難さについては骨身に沁みて分かっているものがあるので、そういう体験を伝えようと」

極北漫画家・根本敬による「根本敬 ゲルニカ計画」。現代美術家・会田誠と組んで描き上げようとする21世紀の風景とは?の画像3

 実際に、最初は薄い絵の具で、失敗しても上から塗り重ねられるようにしていったほうがいいとか、さらには、100円ショップで売られている虫取り網に着目し、そこにスポンジをつけて高いところに色を塗るといった方法も考案して根本氏に伝えたという会田氏。根本氏はそんな会田氏について、「会田さんにいろいろ教わりながら、初心に返って絵に取り組んでいます」と話す。

 作品のテーマについては、「最終的にできあがってからいろいろなことが明白になるので、やってる最中は分からないですね」と言う根本氏だが、完成させつつある絵の中には、2017年という時代を体現するものが表れようとしているのは間違いない。それはあるいは3・11および福島第一原子力発電事故以降の日本や、東京オリンピックの背後にある東京の荒廃を表そうとしているのかもしれない。その後の質疑応答で根本氏が、「基本的に理屈で考えて先に進むことはまずないのだが、気がつくと自分がやっていることが次につながるのだろうという予感がある。本能とか直感でここまで生きてきましたから」と語ったように、すべては完成後に明らかになるものだ。そんな作品の制作を見守る穂原氏は、「根本さんが東京の都市の無意識みたいなものを絵に描いていると僕は行くたびに思います」と言って、ふたりの会見を締めくくった。

 秋には完成予定の作品は、2017年の9月30日(土)、10月1日(日)に開催される鉄工島FESで披露される予定だ。京浜島の鉄工所をオープンアクセス型アートファクトリーとして生まれ変わらせ、アート・音楽・演劇・映画といったカルチャーがクロスボーダーする場として盛り上げようというこのFESには、現代文明が崩壊したあとの廃墟のなかでのエソテリック音楽をコンセプトとするポストインダストリアル音楽&アートユニットのPBCも参加。鉄工島FESの際には、完成した根本氏の作品を前にライブを行なうことが予定されている。

 本作の制作過程を、マンガ家のニコ・ニコルソンによってレポートした作品「根本敬ゲルニカ計画」が、雑誌「美術手帖」(美術出版社)で連載中。また、ゲルニカ計画と鉄工島FESを支援するクラウドファンディングが、クラウンドファンディングサービス「MotionGallery」にて開始されている。

 現代アートの新たな到達点になるかもしれない「根本敬ゲルニカ計画」。漫画界の異才は、作品の完成時にどんな風景を我々に見せてくれるだろうか。

「根本敬ゲルニカ計画」
https://motion-gallery.net/projects/guernica

「鉄工島FES~鉄工所の島=京浜島で始まる創造祭」
https://motion-gallery.net/projects/tekkojimafes

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