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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第78回

【クロサカタツヤ×山口真一】新進気鋭の研究者が語る情報社会で私たちが大切にすべきこと

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通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

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●世界のトラフィックの推移及び予測(トラフィック種別)
(出典)CiscoVNI 総務省「令和元年版 情報通信白書」より

――気がついてみたら、YouTubeでアーティストが新曲を丸ごと公開していたり、便利なサービスが無償で使えたり、最新のニュースが読み放題だったり、ネット絡みのサービスはことごとく無料で使える。それで本当に儲かっているのだから、いやさ不思議。そんな情報社会のビジネスモデルの分析をしたのが山口真一先生だ。ネット炎上に関しても専門家で、時折テレビにも登場する新進気鋭の研究者。そんな山口先生に、afterコロナ、withコロナを迎えるこの先の情報社会で、私たちが何を大切にすべきなのかを聞いてみた。

クロサカ 今月のゲストは7月に『なぜ、それは儲かるのか:〈フリー+ソーシャル+価格差別〉×〈データ〉が最強な理由』(草思社)という書籍を上梓されたばかりの山口真一さんです。ネット炎上の研究などでテレビに出演されることも多い山口先生ですが、情報経済からネットカルチャーまで幅広く研究されていらっしゃいます。

山口 ネットの言論やその社会的な対処と、情報経済といったビジネス面という2つを主に研究していて、今回の書籍はそのうちのビジネスについてのものです。ただ、この2つは相反するものではなく相互に重なっていて、『なぜ、それは儲かるのか』の第6章でもソーシャルを活かしたマーケティングの話をしています。

クロサカ 山口さんは私と10歳ほど離れているので、ネットに関する原体験が違うはずです。私は慶應大学のSFC出身なので、キャンパスで一晩中UNIXを触っていたような学生で、牧歌的だったネット黎明期を体験してきました。山口さんの場合、SNSがすでに当たり前のものになっていて、学生の頃にはiPhoneが登場して、スマートフォンが普及していくのを目の当たりにされている。当然、フリーミアムのようなビジネスモデルもすでにありましたが、それを研究しようと思ったきっかけはなんでしょう。

山口 きっかけは師匠の田中辰雄先生【1】の存在です。学部生の頃、友達におもしろい先生がいると聞いて、たまたま田中先生のオープンゼミに行ったんです。そこで取りあげていたテーマが「海賊版の経済効果」で、Winnyで共有されたりYouTubeに不正にアップロードされた商業コンテンツを見ることには、実は販促効果があるかもしれない、という話しをされていた。今はその論争は決着がついて、海賊版は悪いということになっていますが、法律で禁止されているから駄目なことであっても、経済的にはプラスかもしれないという発想が新鮮でした。その後、アーティストが自らMVをYouTubeで公開するようになったり、ゲーム会社がプレイ動画の公開を認めるようになったりと、企業や権利者がある部分を無料で提供する戦略が広まってきましたが、学問としてはあまり分析されていないと思い、大学院の頃に研究を始めました。

クロサカ 私は世代的には田中先生に近いですが、山口さんの本を読んで内容がすんなり理解できて、とても読みやすいと思いました。同時に、私には書けないとも思いました。というのも、今のネットに対しては、特にカルチャー面について悲観的に考えていることもあって、ここまで冷静になれないんですね。

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