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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

小室哲哉の介護・不倫疑惑の続報にもテレビは総スルー!芸能とメディアの微妙な力学

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1807_komuro.jpg『小室哲哉インタビューズ Tetsuya Komuro Interviews Complete from 1984 to 2014』(リットーミュージック)

 今年1月、「週刊文春」で音楽プロデューサー・小室哲哉(59)と看護師A子の不倫疑惑が報じられた。そこには2011年にくも膜下出血を発症した妻・KEIKO(45)の介護中にも関わらず、不倫する夫という衝撃的な内容だった。小室は即座に弁明会見。

「信頼できる人」とA子さんとの不倫を否定しながらも、音楽活動からの「引退」を発表した。不倫を報じられたことにより、責任を取る形での引退は誰も予想しないことだった。希代の音楽家の引退に「文春が小室を潰した」と世間だけでなく、ワイドショーでも不倫報道のあり方について論じられた。不倫よりも引退の話のほうが大きくなる一方で、不倫→引退という流れに違和感を持つ人も少なくなかった。ビートたけしも自身の週刊誌の連載で「不倫が理由の引退なんて、単なる言い訳だよ」と綴っている。それも納得できる。

 スキャンダル報道は芸能人を潰す目的ではない。それでもファンからは猛烈な抗議があるのは昔も今も変わらない。ネットがない時代は電話やFAXで「あんな記事を書くから仕事がなくなったじゃない。どう責任取るのよ」とファンからよく抗議がきたものだ。1日中そんな電話が殺到。仕事に影響することも多々あった。しかし、抗議が来るからとスキャンダルを自重していれば、芸能ニュースは発表ものばかりになり、関心度は極端に薄れる。芸能プロ経営者の本音も違う。「スキャンダル程度で潰れるのは、芸能人としての力(芸)がないから。それでもスキャンダルから守らなければならないのが芸能プロの仕事です」

 実際、女性問題や講談社殴り込み事件まで起こしたくだんのたけしは潰れるどころか、むしろスキャンダル以降の活躍のほうが著しい。今や「世界のキタノ」と言われるまでになった。

「スキャンダルに対抗する新たな手」と小室のやり方を“奇策”と見る向きもあったが、「引退」という事実と世論の後押しのせいか、文春も静かになっていった。それから半年―。

「やられたらやり返す」と言わんばかりに、文春が報じた小室の現状はさらに衝撃的な内容だった。まずは半年前の小室の会見を振り返り、「嘘ばかり」と断罪した上で、「妻の介護は大分の実家に任せ、小室は今も看護師との関係が続いている」という親戚の話と、元気そうなKEIKO夫人の近影まであった。

 確かに、会見で自分の妻を「小学生レベルにまでなっている」などという話までする必要があったのか、違和感は禁じえなかったのも事実。実際、「不倫の話を引退にすり替えて、同情を買おうとしたのでは?」という声も当時から出ていたが、それを言えば世間からバッシング受けるのは必定。覆す材料を文春は時間をかけ取材していた。

「介護と不倫」。どちらも世間がもっとも関心を呼ぶ話。テレビも新聞も1月の一報のときは蜂の巣を叩くように報じた。

 が、今回は様子が違った。報じたのはテレ朝の「モーニングショー」だけ。それも「文春」が報じていると、単に紹介しただけで、論評はいっさいなし。散々騒いだ他のメディアは嘘のようにスルーした。

 最近のワイドショーやスポーツ紙の顕著な例である。政治の世界で広まった「忖度」。

 芸能界とメディアの間では当たり前のように罷り通っている。

 かつての芸能ニュースは一つの事実だけで報じるという無茶な部分もあったが、今はもう通じない。いくつもの事実を並べることで、真実に近づける作業。刑事が犯人を追いつめるためにいくつもの事実を見つける作業と同じである。最近のワイドショーでも紀州のドンファンの覚醒剤投与による殺人の疑いを連日のように報道していた。「独自取材」という新たな形容詞まで入れて、報じていたが、過去も含めた事実を積み重ねる作業だった。ならば、小室も同じように事実を探す作業をすれば、茶の間の関心度は増すのに、それをしない。文春など週刊誌はマメに事実を探し、裏付けを取る作業を根気よく続けた結果のスクープである。

 メディアが騒がなければ、小室があえて反論する必要もない。いくつもの事実の前に反論するのは苦しい。なまじ反論すればさらに追い打ちをかけられる。静かに文春の火種が消えていくのを待つだけだ。

 それでも小室とKEIKO夫人の間には大きなミゾが生まれていた可能性は大。今後の展開に注目度は増している。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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