サイゾーpremium  > 特集2  > カルチャー化する"メンヘラ"の謎【3】/【松永天馬】が語るメンヘラ

――こちらの記事で触れてきたように、「メンヘラ」はもはや文化になってきた。では、元来は非常にネガティブな意味合いだったはずのこの言葉/文化が、どのようにして一般性を獲得したのか? “病気”をコンセプトに据え、メンヘラ少女たちからの支持も厚いバンド・アーバンギャルドの松永天馬氏に聞いた。

1702_3toku07_520.jpg
(写真/草野庸子)

「メンヘラという言葉が匿名掲示板発祥であるように、かつては名前や顔を出して“病み”を発信することはある種のタブー、リスクの高い行為でした。SNS時代になって誰もが好きに発信できるようになった結果、ディスや病みといったネガティブな表現もなし崩し的に許されるようになり、おのずと“メンヘラ”という概念も拡散していったんだと分析しています」と語るのはアーバンギャルドの松永天馬氏。

「トラウマテクノポップバンド」を標榜するアーバンギャルド(2008年デビュー)は、そのコンセプトの中心に「病気」感を据えている。09年公開の「女の子戦争」PVでは「メンヘラーに人権を!」とデモをする少女たちが登場するなど、早くから「メンヘラ」を音楽表現に取り入れていた。同バンドのボーカル・松永氏は、音楽以外の領域でも「メンヘラ」や「病み」を分析する語りを行っている(一方で『Let’s天才てれびくん』〈NHK-Eテレ〉にも出演中だが)。その視点からすると、「近年のメンヘラ表現の特徴は、メタ視とユーモアが前面に出ているのが特徴だと思う」という。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年11月号

「異形と異端」が 動かすニッポン論

「異形と異端」が 動かすニッポン論

NEWS SOURCE

連載

    • 【マルサの女】橘 和奈
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • GROOVE SEQUENCE──NJSとLDHの親密な関係値
    • 【特別企画3】マッチングアプリが変えた恋愛の価値観
    • 乙女たちの官能界隈
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ