サイゾーpremium  > ニュース  > 芸能  > タブーなき芸能人【同性愛者】への直撃取材の顛末
ニュース
【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

おすぎとピーコが先鞭を付けた!? タブーなき芸能人“同性愛者”への直撃取材の顛末

+お気に入りに追加

――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの"今昔物語"を語り尽くす!

1409osugis.jpg
『おすぎのネコっかぶり』(集英社文庫) 

 芸能報道において、"男と女の関係"なら単純明解。デート現場があれば簡単に報じることができる。お泊りや同棲という事実があれば、男と女の関係は決定的。しかし、男と男、女と女の関係となると巷ではしきりに盛り上がる話だが、報じるとなると、そう簡単にはいかない。

「男性同士であれ、女性同士であれ、男女の仲のようにフランクに話す人は少ない。実際、昔は同性愛でも堂々と告白する者がいましたが、古き良き時代の話ですね」(ベテラン編集者)

 著者も昔、貴重な経験がある。当時、セクシー女優として活躍していたH。今で言うところの米倉涼子的な存在として人気があった。離婚歴もあり、男性遍歴もそれなりにあった人だったが、妙な情報を得た。「とても同性愛とは無縁と思われるその人が、夜な夜な六本木の有名なレズバーに通っている」というものだった。

 にわかに信じ難いものだったが、お相手女性の勤め先の店に潜入した。基本的に男性客は入れないが、たまたまスタッフに知り合いがおり、スタッフの彼女と同伴を条件に客として入った。スタッフは全員、女ながらきちんとスーツを着た男装。髪はショートヘアー。一見、素敵なお兄様風にも見える。不思議な空間だったことを覚えている。そこで「スタッフのひとりと同性愛の関係にある」という証言を得て、さらなる取材を続けた。

「同性愛でもタチと呼ばれる男役は先天的な人が多いですが、ネコと呼ばれる相手役は後天的で、タチにより開発され同性愛の世界に入ることが多い。そうでないと、タチは新しい子を確保できない。常に獲物を狙うようにネコタイプの子を探しています。男性遍歴を重ねてきても、途中で同性愛に目覚める子もいる。実際、芸能界にも一時的に同性愛を経験する人も少なくない」(元レズバー従業員)

 Hもいつの間にかその世界に入っていて、当のスタッフと半同棲にある事実を突きとめた。後は直撃あるのみ。男と女の関係なら取材する要領はわかっているが、同性愛の話は初めて。マニュアルのない取材は当たって砕けるしかない。回りくどい質問はなし。ズバリ聞いた。

「女同士の関係ですよね」

 Hは烈火の如く怒った。めったに経験のない取材。その時のやり取りは克明に覚えている。

H「私の友達です。そんな関係ではありません」

記者「でも、彼女と言うか彼氏はいつも男装ですし、勤めている店もレズバーとして有名な店ですし、彼女も女同士の趣味を認めている。その人と2人で住んでいたら同性愛の関係だと思いますが」

H「どうしてですか。女の人と一緒に住んでいたら、それがどうして同性愛になってしまうのですか、じゃあ、女の子同士で仲良くしている子たちはみんな同性愛の性癖を持っていることになるのですか」

記者「でも、彼女は普通の女の子ではないし」

 そんなやり取りで決裂。最終的に事務所との交渉になった。記事はあくまでも2人の半同棲現場や彼氏の素性など事実関係だけを記事にするだけで、「レズ」「同性愛」という表記はいっさいなし。要は2人の関係は読者の判断の任せるという手法だったが、それで十分だった。

 男性同士の場合も然り。記者が見聞きしたもの、カメラが捕らえた光景をそのまま報じるしかない。

 近年、オカマというのか、自らの指向をカミングアウトしてテレビに出て来る人が続出している。オカマだけで一番組ができたこともあった。最近はそこに"ニューハーフ"という人まで現れて、なにがなんだかわからなくなっているが、タレントとしての価値は上がっている。変に隠すより、自ら「男の子が好き」と公言することで市民権を得て、好感度を上げたことが大きく影響していると思う。テレビ関係者の話。

「オカマもかつては隠していた。その殻を破ったのは"おすぎとピーコ"の2人。彼らがカミングアウトしてテレビ界に進出して道を作り、後輩たちが追随した。おすぎとピーコの功績は大きい」

 "レズ"の世界もいつかカミングアウトする人が現れ、市民権を得たらテレビ界の一大勢力になると思うが……。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年11月号

「異形と異端」が 動かすニッポン論

「異形と異端」が 動かすニッポン論
    • なぜ、我々は横浜流星に惹きつけられるのか?
    • なぜ、『べらぼう』は異形の大河なのか?
    • [特別対談]立花孝志×上念司
    • 参政党は叩かれて強くなる!
    • [対談]安田淳一監督×阪元裕吾監督
    • “因習村”源流としての金田一
    • 日本一早いプロ野球順位予想

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【かとうれいこ】27年ぶりの写真集発売、レジェンドがグラビア復帰を決断した理由
    • 【Small Circle of Friends】切なさと力強さ。正しさと優しさ。アズマとサツキの絶妙ブレンド。
    • 【日爪ノブキ】仏で国家最優秀職人章に認定された男が推し進める「人類帽子計画」
    • 俳優生活11年、木竜麻生の現在地
    • 超大物アーティストが愛用する シルバージュエリーブランド──「サーティーンデザインズ」代表インタビュー

連載

    • 【マルサの女】橘 和奈
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • GROOVE SEQUENCE──NJSとLDHの親密な関係値
    • 【特別企画3】マッチングアプリが変えた恋愛の価値観
    • 乙女たちの官能界隈
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ