――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!
小池徹平と芹那の密会を報じた「FRIDAY」2013年6/21号
「人権侵害だと思います。友人数人が集まって自宅で食事をしていただけです」
写真誌「フライデー」(講談社)が報じた小池徹平と芹那の密会現場。小池はすぐさまブログで熱愛を否定し、“人権侵害”とまで「フライデー」を非難した。果たして、そこまで言及するべきことなのか?
スクープはほぼ完璧なものだった。ツーショットこそないものの、小池のマンションに出入りする芹那の時間を追っての行動を克明に記事にしている。芹那が自室のカギを探してバッグの中を探す際、ジーパンからはみ出したTバッグ丸見えの後ろ姿というオマケまであった。今後、同誌でも「傑作・熱愛スクープ」として再掲載されるだろう。
熱愛スクープは写真誌の生命線。数々の熱愛スクープを飛ばしている写真誌には、手慣れた張り込み班がいる。夜を徹して張り込み、ネズミ一匹逃さない。筆者にも、この手の記者やカメラマンに知人は多くいるが、探偵顔負けのプロ集団であり、そうそうミスはない。
部屋の出入りのチェックから部屋の電気の消灯まで、徹底して監視を怠らない。特に出入りの時間はひとつのポイントになる。事実、芹那も小池の部屋で2時間過ごしていたと報じられている。さらには、現場によっては部屋の電気が何時に消灯し、何時に点灯したかまで漏らさず見ている場合もある。それは、男女がひとつの部屋で何時間どのように過ごしたかを連想させる効果があり、2人は「男女の関係」であることを証明するための裏付けにもなる。
昔、山城新吾さんが、写真誌に対し「撮られたら負け。撮られなかったら勝ち」と言ったことがあるが、これは名言だと思う。最近の芸能人は写真を撮られても、簡単には認めない。そして、決まって言い訳する。中には「仕事の打ち合わせをしていた」「ゲームをしていた」といった苦しい言い訳もあった。東山紀之が木村佳乃と結婚間もない頃、グラビアアイドルの家で過ごした現場を撮られた折も然り、最近は「友達も一緒だった」という言い訳のケースが目立つ。
要は、友達も一緒だったことで、暗に男女の関係を否定しているのである。仮に友人と一緒だったことが事実であっても、報道を信じるか、当人の話を信じるかしかない。すべては記事を読んだ人の判断に委ねられる。
写真誌などがない時代のこと。筆者は『巨人の星』などの劇作家として一世を風靡した梶原一騎氏と女優の密会現場を取材したことがある。当時は記者の目撃や関係各所、周囲の住人の話を総合して、本人に直撃するのがオーソドックスな取材方法だった。赤坂にあった事務所で取材に応じた梶原氏。ある夜の目撃談などを話すと、女優が自宅に泊ったことなどあっさり事実を認めながらも、梶原氏はこう反論した。「男と女が同じ部屋で過ごしたら、それだけで男と女の関係なのか」と。一瞬、返答に困ったが、「普通、誰もがそう思いますよ」と返すと、さらに反論してきた。「君は俺と彼女がセックスしたところを見たのか。もし見たのなら認めよう。男女がデキているというのはセックスをしているかいないかだろう」
見せてもらえるなら見てみたいものだが、それは絶対にありえない。言葉を失った。
「わかったなら、俺たち二人がデキているなんて記事は書くな」と強い口調で言ってきた。
記事にしないわけはない。冷静になり、こう切り返した。「でも先生、デキていないという証拠もないでしょう。目撃談など事実を書くだけです。デキているかデキていないかは読んだ人が勝手に判断することです」
現場の写真はなくとも、女優が泊った事実は認めた。それだけで記事は十分だった。
今にして思えば、ユニークな説法だった。以後、梶原氏とは亡くなるまで親しくお付き合いさせていただいたが、後日、酒の席で「確かにデキていたよ。デキてるから部屋に来たに決まっているだろう」と豪快に笑っていた。
当時とは時代が変わり、今は部屋やホテルで密会している現場の写真を撮ってこそ動かぬ証拠と示す時代。その根底にあるのは、「2人は男女の仲」ということを伝えたいだけである。それが恋人同士でも単なる友人でも、やはり最大関心事は下半身にある。俳優の三田村邦彦が良いことを言っていた。三田村が若手女優との不倫現場を報じられた時、取材陣に囲まれた三田村は、「みなさんは僕と彼女がエッチしたかどうかを聞きたいだけでしょう」と言ってのけた。確かにそうだ。本当に聞きたいのは、エッチする関係か否かだけ。それを誰もが聞きたい、知りたいのが本音だろう。
まさかエッチしたかどうかを話す芸能人はいないだろうが、撮られたら、男女関係を認めなくとも、それなりの大人の対応をするほうが好感度は増すと思う。
小池と芹那の熱愛スクープだが、「友達と一緒だった」と公言した以上、二人の仲は今後、進展することはないだろう。
ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。