連載
宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第9回

『CYZO PLANETS SPECIAL PRELUDE 2011』

+お気に入りに追加

既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら! ジェノサイズのあとにひらける、新世界がここにある!

gandamu1101_.jpg
ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダム

「月刊カルチャー時評」のほうでも触れたが、同コーナーの総集編を制作している。タイトルは『CYZO×PLANETS SPECIAL PRELUDE 2011』──つまりは2010年の文化状況を総括する1冊だ。これは「月刊カルチャー時評」の再録に、小説、マンガ、映画、ドラマ、アニメなど各ジャンルの総括座談会、そして入江悠、渡辺あや、梅沢和木といったクリエイターインタビューなど、新規コンテンツを加えている。この1カ月は、この増刊号のために、ひたすら未読の小説や映画を消化していた。その上で具体的なタイトル名を挙げた今年の文化状況については、カルチャー時評の座談会で述べた通りなのでここでは繰り返さない。

 ただひとつ言えるのは、個人的な感想を述べれば、今年はポスト・ゼロ年代の年というよりは、ゼロ年代に起こった変化が拡散してゆく一年だったということだろう。ゼロ年代に文化状況が迎えた変化とは、グローバル/ネットワーク化により、表現が消費者に働きかける際の採用点が決定的に変化してしまったということに尽きる。たとえば、ゼロ年代は「機動戦士ガンダム」シリーズが、世代を超えたメジャーコンテンツに進化した。2002年の『機動戦士ガンダムSEED』による若年層(男女とも)の獲得と、ハイターゲット商品(高額プラモデル「マスターグレード」シリーズなど)のヒットによる初代「ガンダム」ブーム(80年代前半)時のファンの再獲得に成功し、これらが「ガンダム」という共通言語に結びつくことで一大市場に発展したのだ。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年11月号

「異形と異端」が 動かすニッポン論

「異形と異端」が 動かすニッポン論
    • なぜ、我々は横浜流星に惹きつけられるのか?
    • なぜ、『べらぼう』は異形の大河なのか?
    • [特別対談]立花孝志×上念司
    • 参政党は叩かれて強くなる!
    • [対談]安田淳一監督×阪元裕吾監督
    • “因習村”源流としての金田一
    • 日本一早いプロ野球順位予想

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【かとうれいこ】27年ぶりの写真集発売、レジェンドがグラビア復帰を決断した理由
    • 【Small Circle of Friends】切なさと力強さ。正しさと優しさ。アズマとサツキの絶妙ブレンド。
    • 【日爪ノブキ】仏で国家最優秀職人章に認定された男が推し進める「人類帽子計画」
    • 俳優生活11年、木竜麻生の現在地
    • 超大物アーティストが愛用する シルバージュエリーブランド──「サーティーンデザインズ」代表インタビュー

連載

    • 【マルサの女】橘 和奈
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • GROOVE SEQUENCE──NJSとLDHの親密な関係値
    • 【特別企画3】マッチングアプリが変えた恋愛の価値観
    • 乙女たちの官能界隈
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ