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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

キモは「現地コーディネーター」!年末年始恒例・芸能記者ハワイ取材の裏表

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『男道 (幻冬舎文庫)』(幻冬舎)

 大リーグにサッカーと今や海外取材は当たり前になっているが、スポーツと違い芸能に限ると、そう海外取材はない。

「映画の海外ロケであご足付きで海外に行くくらい。取材対象者も日本の芸能人。スポーツ紙にとってはオイシイ仕事と言われています」(スポーツ紙記者)

 芸能ニュースは基本的に日本で起こり、国内取材が基本形。たまにあるのが正月をハワイで過ごす芸能人たちの取材。最近は一部のレポーターが現地に行くくらいで、ハワイ取材から撤退する傾向にある。

「正月にハワイへ行くのは家族など無難な人とばかり。取材場所はホノルル空港に到着後の空港ロビーを出たところと決まっている。毎年、同じような芸能人が同じ場所でインタビューでは関心度も薄いし、余計な経費を使うだけムダ」(芸能デスク)

 一時はテレビ、新聞、週刊誌と各誌が競い合う場になっていたハワイ。記者とカメラマンが通常の形だが、それに加えて英語が話せて現地を知るコーディネイターを使うのが大半。

 コーディネイターは車の運転から道案内、現地の情報まで調べる。腕利きのコーディネイターになると、いくつかの社と値踏みをしてギャラが高いほうになびく。それでも使う人によって取材力は大きく変わってくる。例えば、誰がどのホテルに泊まっているとか、どんな店に行っているか、調べ上げてくる者もいた。著者は旧知のサムという日系人をいつも使っていた。

 12月に入るとまず野球選手が優勝旅行でハワイに来る。スター選手となれば、羽目を外した写真を撮りたいが、そううまくいくものではない。西武ライオンズ時代、スター選手として注目度の高かったのが清原和博。徹底マークするも、これといったシャッターチャンスがない。今では考えられないほど真面目だった。海辺に出ても、ぼーっと散策するだけ。チラッとビキニ姿の金髪美女に目じりを下げるが、声をかけるわけでもない。こういう時に機転を利かせるのがコーディネイターの腕。サムは「金髪美女を何人か集めて、彼に群がせたら」と提案。言うは簡単だが、やるとなると難しい。ところが、いとも簡単にサムはビキニの金髪美女を4人用意。清原に声をかけさせた。「キヨハラさーん」と群がった。もちろん、彼女たちは清原が有名な野球選手ということなど知らない。仕込みである。

 清原もまんざらでもない。「俺はハワイでも有名なんだ」と得意満面の笑顔。

「金髪美女に囲まれる清原」というグラビアができた。このぐらいの事ならコーディネイターにとっては序の口の仕事。

 やっかいなのは渦中の人の張り込みや突撃。拘置所に収監されている元暴力団幹部への取材があった。ハワイの収監所は塀で囲んであるが、日中は塀の近くの広場で収監されている者が三々五々、自由に運動や日光浴を楽しむ。ハワイならではの光景がある。そこで金網の塀越しに直撃が可能という。道路から空き地を隔てた金網に向かった。サムはすかさず近くの人に声をかけ、幹部の名前を言い、呼んできてもらった。御礼はタバコのみ。A氏がやってきた。そこで私と交代。話し始めたときだった。突然、背中に銃を突き付けられた。「両手を上げ後ろを向くと」2人組のポリス。「なにをやっているんだ」と凄んできた。殺されるのではと震えたのを覚えている。返答に困っているときにトイレに行っていたサムが戻ってきた。ポリスに事情説明。事なきを得たが、ポリスは「お金を払えば、見て見ぬふりをしてやる」という話を持ち掛けてきた。翌日、金を払いA氏と金網越しのインタビューという珍取材に成功した。

 こんな緩いのも当時のハワイならではだった。裁判の傍聴も係官にお金をこっそり渡せば、テープもカメラも持ち込むことができた。ただし、中で裁判官に見つかったらアウト。さすがにカメラは使えなかったが、裁判の内容はテープにばっちり収めることができた。それでも、お金ではどうにもならない恐い体験もある。それは75年代に日本の芸能界に旋風を起こした、元祖・グラドルのアグネス・ラムの直撃だった。
(以下、次回)

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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