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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【3】

警察・検察を押さえてこそ政権は真に奪取される

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の”意図”──。

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「政権交代」
2009年8月実施の第45回衆議院議員総選挙において、大多数の国民の支持を得て念願の政権交代を果たした民主党。しかし、12年10月のNHKによる世論調査によれば、今やその支持率は13・8%と低迷し、野党第一党である自民党の26・2%を大きく下回っている。離党者も相次ぎ、次期衆院選前の過半数割れの可能性さえ出てきているが……。

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『政権交代』(中公新書)

 2009年8月に実施された衆議院総選挙において、戦後初の本格的な“政権交代”を実現させた民主党ですが、基地問題への対応から始まり、閣僚の不祥事、震災対応、そして今般の尖閣・竹島問題と迷走が続き、国民からの支持率は低迷、次期総選挙において民主党の敗北と再度の政権交代が必至なのは誰の目にも明らかです。

 民主党がわずか3年余りでここまで凋落した要因についてはさまざまな指摘が可能でしょうが、私は基本的に、「そもそも『政権を取る』とはどういうことなのかを民主党がしっかり理解していなかった」というひと言に尽きると思っています。

 一般に「政権を取る」とは衆議院で多数派となることでしょうし、民主党自身もそうとらえていたでしょう。しかし、その認識は甘い。真の意味での「政権奪取」とは、国家にのみ認められる“暴力装置”、すなわち警察・検察を掌握し、直接的な強制力を保持することであり、それは議会を押さえることよりも、実ははるかに本質的なことです。民主党は、まさにその点をおろそかにしたがゆえに政権を維持できなかったのであり、その点から見れば、実質的に政権交代は実現されなかったというべきだと思います。なぜそういえるのか。警察・検察と政治の関係史をひもときつつ解説しましょう。

 現代に連なる日本の警察機構の歴史は、1874年の東京警視庁(現在の警視庁)の設立によって幕を開けました。同庁は、明治政府によって完全に解体された江戸幕府の警察機能(町奉行など)の代わりとして、旧幕府軍の残党から江戸改め東京市の治安を守るために設立された公安警察、いうなれば「治安部隊」という意味合いの強い組織でした。

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