>   > 【自己啓発】がブームになるわけ

──市場の売り上げ減少が続き、その底も見えない出版業界。そんな業界において、「人生のすべてを成功させる哲学」や「年収を10倍アップさせる生き方」「奇跡を起こす方法」や「人から愛される原則」などを教授してくれる、いわゆる“自己啓発本”は、まだまだ活況を呈しているようだ。次から次へと新刊が発行され、書店の一番目立つ棚を占領せんばかりの勢いで平積みになっている同ジャンルの背景にあるものはなにか? この特集ではその裏側やサクっと紹介する自己啓発の名著、さらには編集制作の裏側まで紐解いてみたい。

1207_keihatsu01_michiwo.jpg
『道をひらく 』(PHP研究所)

 マイナス成長が続く出版業界において、いわゆる“自己啓発本”は次々と新刊が発行され、書店の目立つ棚を占領せんばかりの勢いで陳列されている。なぜそんなに自己啓発本ばかりが活況を呈しているのだろうか? 昨今の自己啓発本ブームについて考察した研究書『自己啓発の時代「自己」の文化社会学的探究』【1】の著者・牧野智和氏は次のように指摘する。

「大企に勤めれば一生安泰、結婚はして当たり前など、従来的ライフコースがもはや自明ではない中で、新たな規範を示してくれたり、あるいは迷っている背中を後押ししてくれたりするメッセージを多くの人が求めている、これが自己啓発本の売れている背景としてあると思います。また、1冊ヒットが出れば、その著者のもとには『うちでもぜひ』と新たな依頼が殺到し、ほかの出版社からもヒットの流れに少しでも乗ろうと類似の企画が続く近年の傾向もあります。こうして短いスパンで次々と似たような新刊が刊行されていくわけです。さらにこうした量産体制の中で1冊あたりの文字数が減ったり行間が緩くなる“ライト化”が起こり、自己啓発本に対する敷居が低くなっていることもあります」

 このような需要と供給の相乗効果もあって、ベストセラーランキングには複数のタイトルが常時ランクイン。トレンドに乗り遅れまいとする読者は話題の新刊を買っていく。かくして自己啓発本は書店に山積みになっていくのである。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年11月号

禁断の家電・ガジェット

禁断の家電・ガジェット
    • テック系企業の【経済地理額】
    • 次世代のテック系【注目都市】
    • 世界を席巻する【アジア家電】
    • 【D.O.I.×BERBAL】安室奈美恵論
    • 【アムロ】を支えたPの本音
    • 知られざる地方【テック企業】
    • 米国【大麻用電子たばこ】産業事情
    • 【星名美津紀】家電とエロス
    • 進化し続ける【アダルトVR】の今
    • 最新【バーチャルセックス】のしくみ
    • 【三代目JSB・山下健二郎】スニーカー愛
    • 【三代目Air Jordan Brothers】選出!
    • 【リバタリアン】生んだネットの終焉
    • 各国【ネット規制】の事件簿
    • 【ゲーム依存】はビョーキか否か?
    • 【モノ雑誌】の「読プレ」豪華番付
    • 【景品表示法】を弁護士はどう見るか

防弾少年団がアメリカを制する日

防弾少年団がアメリカを制する日
    • 今さら聞けない【BTS】基礎講座
    • 数字で見る【K-POP】世界進出
    • BTS支持層【アジア系アメリカ人】の連帯

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【忍野さら】友達の財布に私のトレカを入れるんです。
    • 【小林レイミ】デビュー4年目の初グラビア!
    • 振り返れば【芽衣】がいる
    • 【電力業界】に切り込んだ元フィンテック起業家
    • 【新潮45】を潰したのは誰だ!
    • 【阿波踊り】内紛の実情
    • 【中国】を支配する巨大顔認証システム
    • 【88ライジング】がアジアと米国を繋ぐ
    • 町山智浩/『ブラック・クランズマン』アメリカ・ファーストを謳うのは誰か
    • 政権の利益誘致政策に踊らされる【英語教育】の欺瞞
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 「念力事報」/黒い水脈
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【おとぎ話みたい】文化系男子が患う恋愛の病
    • ギャング集団に所属するアパレル屋
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • ビールの世界を超越し始めた【職人】
    • ひとりぼっちたちを繋ぐ【薔薇族】の誕生
    • 幽霊、雑誌の去勢と俗物主義の衰退。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』