サイゾーpremium  > ニュース  > カルチャー  > フランス人卒倒の問題作「マーターズ」に注...
ニュース
R-18指定で大臣に直談判!

フランス人卒倒の問題作「マーターズ」に注目

+お気に入りに追加
0909_martyrs_re.jpg
日本に来るのは初めてというロジェ監督(撮影/有高唯之)

「どん底の精神状態で、悲嘆に暮れていました」

 パスカル・ロジェ監督が脚本を書き始めたとき、個人的に嫌なことがあったのに加え、テレビから流れてくるのは乱暴で悲惨なニュースばかり。こんな世の中、もう終わりだよ……という絶望の中で『マーターズ』は作られた。本作の常軌を逸する恐怖と苦しみは、「監督、本当にもう立ち直ったんですか?」と心配したくなるほど凄まじい。

 長年、監禁・虐待された末に自力で逃げ出した少女が15年後、被虐者たちへ復讐を試みるが、そこで世にも恐ろしいものを発見する。少女が監禁された理由は明かされないまま、物語が進む不気味さ。挙げ句の果てに、見てはいけないものを見てしまったという居心地の悪さに襲われる作品だ。

「最近のホラー映画は、ただ怖がらせて終わってしまうような作品が多いですが、ホラーの歴史をたどると、メッセージ性の強さは外せません」

 しかしこれ、あまりにショッキングなメッセージ性ゆえに、本国フランスでは公開が危ぶまれ、監督自らが文化大臣に直談判したといういわくつき。

「当初指定のR-18は、実質的にポルノ映画と同じ扱いで、公開できないに等しい。表現の自由の侵害とする論争も起き、結局R-16に落ち着きました」

 まさに前代未聞のホラー映画なのだが、意外なことに監督はさほどホラーに固執していないという。

「この映画も、うまくいかないメロドラマとして、苦しみを表現するのが目的でした。でも出来上がると、僕の作品は結局いつもホラーになっているんです」

 今回初めて来日した監督だが、日本のホラー映画は年代を問わず大好きだとか。

「日本はサドマゾ的なものや、残酷な物語を美しく作る歴史がある。この作品を一番わかってくれるのは、日本の人だと僕は思っています」

 フランスでは気絶する観客もいたという本作。さて、監督の期待通り、日本人はこの痛みと恐怖に耐えられるか!?
(兵藤育子)

パスカル・ロジェ
コートダジュール生まれ。パリの映画学校を卒業後、イタリアン・ポルノの撮影現場などで働き、『Saint Ange』で長編デビュー。本作の成功によりハリウッドからオファーが殺到! 既に3本が決まっている。

0909_martyrs_bamen.jpg

映画『マーターズ』
行方不明になった少女・リュシーが、路上をさまよっているのを発見される。それから15年後のある日、ごく普通の家庭で呼び鈴が鳴る。それは惨劇の始まりだった……。監督/パスカル・ロジェ 出演/モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイほか 配給/キングレコード+iae 公開/8月29日より、シアターN渋谷にてレイトショーほか全国順次 公式サイト


Recommended by logly
サイゾープレミアム

2018年12月号

禁断の映画と動画

禁断の映画と動画
    • 【ライブ配信】儲けのカラクリ
    • 【本田翼】もハマるゲーム実況
    • 決定!2018年【邦画ラジー賞】
    • 【アジア系】が逆襲するハリウッド
    • 注目のハリウッド【アジア系俳優】
    • 【片山萌美】ショーガールグラビア
    • 俳優に責任を問う【報道の愚行】
    • 【自主制作映画】の現場からの悲鳴
    • 【小川紗良×堀田真由】映画大討論会
    • Netflix産【ヒップホップ映像】の社会性
    • 傑作【ヒップホップ】動画10選
    • 【ネトフリ×ヒップホップ】作品レビュー
    • 映画・ドラマ【サントラ】の裏事情
    • ネトフリの【麻薬ドラマ】のリアル度
    • 奇想天外【アフリカ】の忍者映画
    • 世界は【忍者】をどう描いたか?
    • 【深夜アニメの劇場版】が儲かる不思議
    • 劇場版アニメに見る【ポストジブリ】争い
    • 【ジャニーズ】がキラキラ映画で失敗する理由
    • 意外と面白い【キラキラ映画】レビュー
    • 【中東情勢の今】がわかる映画
    • 【芸能プロ】に映画監督が所属する理由

"異能作家"たちが語る「文学、新宿、朗読」論

    • 【石丸元章×海猫沢めろん×MC漢×菊地成孔】対談

NEWS SOURCE

    • タッキーも初出場?【紅白&レコ大】芸能行政
    • 【佐伯泰英】がご乱心?作家と遺産問題
    • 【電力自由化】後の不公平な業界構造

インタビュー

    • 【奥山かずさ】ニチアサで躍進した女優の未来
    • 【TENG GANG STARR】新鋭の男女ユニットラッパー
    • 【ガリットチュウ福島】モノマネ芸人、写真集までの歩み

連載

    • 【橋本梨菜】ギャル男をマネタイズしたいんです。
    • 【RaMu】YouTubeで人気の美女が泡まみれ
    • 【ダレノガレ】は突然に
    • 日本の【AI市場】と日本企業のAI導入の真実
    • 【オスカー社員】が大量退社で瓦解!?
    • 祭事的【渋谷ハロウィン】分析
    • 【出前アプリ】を支えるライダーたちの過酷な日常
    • 【フレディー・マーキュリー】の一生
    • 町山智浩/『ボーイ・イレイスド』ゲイの息子と神のどちらを選ぶのか?
    • ジャーナリスト殺害事件で変わる【サウジ】の覇権
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子の「ドラッグ・フェミニズム」
    • 「念力事報」/それがジュリー
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【カーネーション】フェミ論点全部乗せの名作朝ドラ
    • 「俺たちの人生は死か刑務所だ」ギャングの豪快な人生
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 【山陰】でビール造りに励む男
    • 【薔薇族】刊行で去っていく友と、死を恐れぬ編集者
    • 幽霊、紅衛兵たちのアニメ映画興行。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』