今の世の中、理解不能な言動を取ったり、主体性がない判断をする人が多くないか?個が尊重される多様性社会といえば聞こえがいいが、アイツやコイツや、そして僕たちも、実は無自覚なまま、特定の権力者や情報に操られる「洗脳状態」になってはいないか? だから、脱洗脳のスペシャリストである苫米地英人博士に聞いてみたい。「僕たちは洗脳されているんですか?」
ニュースやSNSに「認知戦」という言葉が飛び交い始めている。偽情報の意図的拡散やサイバー攻撃と混同されやすいが、苫米地博士は「認知戦=洗脳戦」であり、人間の心が戦場になると指摘する。防衛白書にも「認知戦」の概念が盛り込まれ、国会でも議論が始まっているが、日本人は大きな誤解をしたまま、世界の最前線から引き離されているという――。
――苫米地博士は、まもなく「認知戦」に関する本を出されるということですが、認知戦と洗脳は関係あると思うので、今回は認知戦についてたっぷりお聞きしたいです!
苫米地 うん。今度『自衛隊 認知戦軍 創設提案』(開拓社)という本を出すんだけど、まず最初に言っておきたいのは、日本では「認知戦」への理解がかなり危ういということね。「認知戦の専門家」と名乗る人が大勢いるけど、実際には彼らはサイバーや心理学の専門家であって、人間の認知そのものを扱う専門家ではないんだよ。そんな認知戦の本当の意味を知らない人たちが、間違った情報や見解を流布している。
ネットやAIの普及は、戦争領域を「心=脳」にまで拡大させた。苫米地博士の新刊『自衛隊 認知戦軍 創設提案』(開拓社)が、その実態を明らかにする。
――世間では「認知戦=サイバー攻撃や情報操作(情報戦)」と思われていますよね。
苫米地 そう。でも本当の認知戦は違うんだ。俺が「コグニティブ・ワーフェア」という言葉を「認知戦」と訳したんだけど、意味は「人間の心=つまり脳内が戦場になる」ということ。陸軍は陸を戦いの場に、海軍は海が戦いの場。同じように認知戦は、人間の認知が戦闘領域になりますよ、ということ。だから、「これからは、自衛隊にも認知戦軍が必要」ということを書いたのが、今回の本なんだ。
――戦闘領域が物理空間から「認知空間」にも広がってきたということですね。