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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

アグネス・ラムを追った芸能記者の珍道中……ハワイで起きた直撃取材の恐怖

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『アグネス・ラム写真集「1974Memories」』(双葉社)

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 ハワイ出身のモデルでタレントのアグネス・ラム(現在61歳)が日本の芸能界を席巻したのは75年頃だった。ハワイで日本の芸能プロ関係者にスカウトされ来日。エキゾチックな顔と褐色の肌。見事なプロポーションにビキニ姿がよく映えた。日本のグラビア界を占拠するかのように男性を魅了した。しかし、ブームが去るのは早い。ハワイからやってきた妖精はわずか8年であっさり引退。

「出稼ぎ感覚ですし、年齢を考えれば潮時だったと思います」(元芸能関係者)

 ハワイに戻り普通の女の子として生活を始めるや否や、日本での消息は完全に絶たれた。

 引退から10年以上経った頃、著者は「あの人は今」の目玉としてアグネスの消息を追うためハワイに飛んだ。しかし、何の手掛かりもない。アグネスのグラビア写真を持って聞き込みすれば居所ぐらいわかるだろうと、日本での取材感覚でいた。ところが、出身地のオアフ島、ホノルル界隈で聞き込みしても、「誰、この子?」と彼女を知る人はいない。そもそも現地の人たちは、アグネスが日本の芸能界で活躍していたことも知らない。以前所属していたハワイの事務所も「いたことあるみたいだけど、今はなにをしているか知らない」と言うばかり。途方に暮れていたところ、日本の芸能界で仕事をしていた日系人の元モデルから「結婚したみたい。今はカウアイ島で暮らしていると聞いたわよ」という話が入ってきた。不確かでも取材の基本は確認作業。唯一の手がかりを追うため、飛行機で1時間かけカウアイ島へ向かった。とはいえ、彼女が島のどこでどんな人と暮らしているかも分からない。再び、写真を持って聞き込み。やはり誰も知らない。取材二日目、ようやく「あの辺りの家じゃないかしら」と点在した住宅街を教えてくれた。家に近づけば、昔の写真を見せただけでも「似た人がいる。こんなにスタイルはよくない。ちょっと太っているけど」という情報まで入った。

 ようやく家が見つかった。遠くに海が見える小高い住宅街の道路を挟んで綺麗な芝生が敷き詰められた先にその家はあった。日本と違い、塀やインターホーンもなければ、どこからが敷地なのかの判別も付かない。仕方なく中に入り玄関のドアを叩いた。なかなか出てこない。裏へまわり様子を見ていると、突然、ドアが勢いよく開いた。出て来たのは口ひげを生やしたイケメン風の白人。見ると彼は銃を持ち、すでに銃口はこちらに向けられていた。一緒にいた現地のコーディネイターとともに両手を上げた。立ちすくむとはまさにこのこと。小便がちびりそうになったのを覚えている。聞くと「人の家に不法侵入した。君たちは撃たれても文句を言えない」という。これがアメリカのルールだと痛感した。日本のルールは通用しない。

 事情を説明して難は逃れたが、アグネスの取材に関して「もう日本の芸能界とは関係ない」とあっさり断られた。

 家と亭主は確認したが、肝心なアグネスの姿は見ていない。話はダメでも近影だけは必要。新たに聞き込みをすると、「夫はフィッシャーマン(釣り師)で、アグネスは昼間、スーパーのレジで働いている」という確かな情報を得た。翌日、大型スーパーに向かった。レジがいくつもあり、アグネスがどこのレジにいるのか確認するだけで一苦労。ようやく見つけた。かつてのアイドルの面影はない。ちょっと太り、顔のソバカスが目立つ普通のおばさん。それでもよく見れば、目元の可愛らしさは変わらない。

 直撃する前に望遠レンズを使い、レジで働くアグネスの姿を撮影。後は直撃するタイミングを待つだけ。買い物する客を装い、レジで話しかけるも「ノー」と叱られる。
帰りを待ち再度、直撃するも、またしても「ノー」と激怒され、話を聞くことはできずにカウアイ島を後にした。アグネスを探してハワイ滞在5日間の取材は終わった。海外取材の難しさを痛感した貴重な体験ではあった。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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