サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 【POP YOURS】影響と課題
第1特集
サイゾーPremium 特別企画「ヒップホップとフェスを考える」

最大規模で開催されたヒップホップフェス『POP YOURS』が与えた影響と課題

+お気に入りに追加

次世代が牽引していくポップカルチャーとしてのヒップホップ

今回の『POP YOURS』の大きな特徴と言えるのが、ラインナップを若いアーティスト中心に組んだことだろう。繰り返しになるが最年長が現在40歳の田我流氏で、出演者の中心となっているのは20代、30代、さらにLEXなど10代のアーティストたちだ。

「主催者側には“ポップカルチャーとしてのヒップホップ”という考えが念頭にあったわけですよね。その上でベテラン世代のアーティストを、あえて起用しないことも『POP YOURS』の意図だろうし、オーディエンスのターゲットも明確だったと思います。結果、とても練られたラインナップになったと感じています。ただ、主催側とも話をしたんですけど、個人的にはもう少し女性アーティストがいてもよかったのかなという気持ちもありました」(渡辺氏)

若手中心というだけでなく、あのラインナップには絶妙なリスクヘッジの意図を田我流氏は感じたという。

「今回感じたのはお客さんのマナーの良さ。それってアーティストのラインナップをうまくコントロールしていたからだと思うんですよね。もし、もっと強い(=ハードな)ラインナップにしたら、セキュリティの数も揃えなくてはいけない。そういう細部まですげえ考えていたんだろうなって」

現在はさまざまなヒップホップフェスが日本全国で開催されており、ある意味、乱立ともいえる状況になっている。ヒップホップファンにとっては間違いなく喜ばしいことではあるが、今後も発展していくためには超えなくてはいけない課題を渡辺氏は指摘する。

2207_02_FES.jpg
画像は『KOBE MELLOW CRUISE 2022』 公式サイトより

「『POP YOURS』の翌週に神戸で『KOBE MELLOW CRUISE 2022』 というフェスが開催されたんですが、出演者が結構かぶっていたんですね。大きな舞台に上がることができるアーティストは限られているので、仕方のないことなのかもしれません。特に地方フェスの場合は集客面を考えると、なおさら確実にお客さんを呼べるビッグネームをブッキングしたい。ただ、ヒップホップシーンの新陳代謝は早いので、いまZeppクラスでワンマンをやっている若手が、次のフェスではヘッドライナーになる可能性もある。そういった面も含め、今後どうなっていくか楽しみですね」

また、『POP YOURS』に限らず、ヒップホップフェス自体の規模が大きくなっていくにしたがって、“リスク管理”についても指摘した渡辺氏。記憶に残っている人も多いと思うが、昨年、愛知県にて新型コロナによる緊急事態宣言下の中で開催され、杜撰すぎる感染対策や意識の低さによって世間から大きな非難を浴びた『NAMINONOGATARI』などは、悪い意味での代表例と言えるだろう。

また、アメリカではトラヴィス・スコットが主催した『Astroworld Festival』にて、熱狂のあまり観客が将棋倒しとなり10人が圧死するという痛ましい事故も起きている。今後もフェス初心者、あるいはヒップホップ初心者が間違いなくオーディエンスとして増えていく中で、主催者、アーティスト側ともに、さまざまなことに細心の注意を払っていくことが必要となっていくだろう。

2207_03_FES.jpg
痛ましい事故が起きてしまったトラヴィス・スコット主催のフェス『Astroworld Festival』
(写真/Alexander Tamargo/Getty Images)


Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ