サイゾーpremium  > 特集2  > 【元博報堂の作家】が語る「電通vs.博報堂」

――2012年6月に上梓した『電通と原発報道 巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ』や、本誌12年12月号掲載の「マル激トーク・オン・ディマンド」において、実体験とデータをもとに、原発報道が電通の圧力によって歪められている実態を明らかにした作家の本間龍氏。博報堂営業部に18年間勤務した経験を持つ同氏に、電通の芸能界との付き合い方や、博報堂との違いなどについて聞いた。

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本間 龍氏の著書『電通と原発報道』

──本間さんが博報堂に入社したのはバブル末期の1989年ですが、当時と今とで、電通の芸能界に対する付き合い方は何か変わったでしょうか?

本間龍(以下、) うーん。確かにバブル期は六本木のクラブへ行くとほぼ必ず電通マンに出くわしましたし、世でいわれている通り彼らの宴会芸はホントにすごかったです。でも、あくまでそれはクライアントに対しての接待の話であって、対芸能事務所という意味では、当時からそれほど目立つことをやっていた印象はありません。特に私が辞める頃は、事務所側も経費削減を真剣に考えるようになっていましたし、代理店側にも業界全体としてもうそういう接待の時代じゃないという認識がありましたね。

──4~5年前、サイゾーの編集部員が、赤坂にある中川翔子のお母さんが経営するスナックバーで3人組の電通マンを見かけたことがあるんです。彼らの脱ぎ芸のすごさもさることながら、しょこたんはまだブレイク前だったのに、なぜ電通マンがすでに3人もしょこたんママの店に入り浸っているのかが不思議で、非常に印象に残ったとか。電通の営業マンが、そういうふうに半ば日常業務として将来有望なタレントに目をつけて食い込んでおくようなことはあるんでしょうか?

 そのしょこたんの例がそうであるかはわかりませんが、電通のキャスティング局、現在の電通キャスティング アンド エンタテインメントが芸能事務所と組んで、18~23歳ぐらいのブレイクしそうなタレントの中から“プッシュ銘柄”を決め、徹底的に売り出そうとすることはありますね。同様のことは博報堂もやりますが、プッシュ力は電通のほうが断然強いです。

──銘柄は事務所側が決めるんですか?

 ケースバイケースですね。たとえバーニングプロダクションの周防郁雄社長のような力のある方が「どうしてもこの子で」といっても、最終的にはクライアントがOKしなければダメですから。ただ、だからといって事務所の意見を無視するわけでもない。例えば、「バーニングはこの子を強烈にプッシュしていて、あちこちで同時多発的にCMやメディアに露出しますよ」という話になれば、その子の認知度は一気に上がるわけで、クライアントとしてもそれに便乗するのが得策ですからね。

──電通と博報堂とで、CMそのものの作り方に何か違いはありますか?

 博報堂のCMには理詰めのものが多くて、逆にタレント一発芸みたいなCMはほとんど電通、という違いでしょうか。ソフトバンクモバイル「白戸家」シリーズ(07年~)みたいな突飛な発想のものとか、沢口靖子や豊川悦司ら大物が出演した大日本除虫菊「タンスにゴンゴン」(99年)「キンチョール」(08年)のような笑えるものは、たいてい電通ですよね。

──では今後、芸能界に対する電通の姿勢になんらかの変化は起きると思いますか?

 どうでしょうね……。そもそも電通と芸能界って、テレビ局と芸能プロのようなバーターにまみれたズブズブの関係じゃないのでね。そこを楽しみにしているサイゾー読者には大変申し訳ないんですけど(笑)。CMって、すべて数字で理屈をつけて作るものであって、テレビ番組のようにただ旬なタレントを使えばいいというものではない。世間で思われているよりも、ずっと高度な世界なんですよ。まあ、テレビ局の人が聞いたら怒るかもしれませんけどね。

本間 龍(ほんま・りゅう)
1962年、東京都生まれ。 89年、博報堂に中途入社後、06年に退職。同年に詐欺罪で有罪判決を受け、1年間服役。その後、『「懲役」を知っていますか?』(学研)で作家デビュー。近著に『電通と原発報道』(亜紀書房)、『大手広告代理店のすごい舞台裏』(アスペクト)などがある。

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